内分泌

甲状腺 Thyroid

甲状腺ホルモンの生成

濾胞細胞で生成されたサイログロブリンがコロイドへ分泌され、コロイド内で濾胞細胞から分泌されたヨウ素とペルオキシダーゼにより結合する(DIT、MIT)。そしてそれらがカップリングすることでT4、T3となる。これらは再度濾胞細胞に取り込まれ、T4、T3は血中に分泌され、DIT、MITは再度リサイクルされる。

T3は作用性のある甲状腺ホルモンで大部分は末梢組織で脱ヨウ素化されたT4由来であり、甲状腺から直接由来のものは少ない。T3は半減期が短く、補充療法に不適当であり、半減期の長いT4が用いられる。また、甲状腺機能低下時にもT3値は末梢組織由来であり、半減期が短いことから、値にバラツキが大きく、時として正常値である。

リバースT3は不活化状態であり、ほぼすべてT4の末梢変換からの由来である。

T3、T4がTRH、TSHに対してネガティブ・フィードバックの働きがある。

甲状腺ホルモンは血中では99%以上が蛋白質(70%がTBG、残りがアルブミンとトランスフェリン)と結合して存在し、甲状腺ホルモンのリザーバーの働きをしている。

リチウムは甲状腺ホルモンの産生および分泌を抑制しうる。リチウム開始2年は甲状腺ホルモンに注意が必要。(その場合はレボサイロキシンを追加投与する。)

TBGに影響を与える因子

TBG増加:エストロゲン増加(肝臓でのTBG産生が増加する)、急性肝炎

TBG減少;アンドロゲンホルモン増加、高用量ステロイド、高タンパク血症、慢性肝疾患

レボサイロキシン

朝空腹時に服用する必要がある。

カルシウム、鉄、アルミニウム、PPI、コレスチラミンと服用すると吸収が阻害される。

抗甲状腺薬

濾胞細胞のヨウ素取込やT4、T3の分泌はヨウ化物により抑制される。

サイロイドペルオキシダーゼはプロピルシオウラシル、メチマゾールで抑制される。

末梢でのT4からT3への変換はプロピルシオウラシル、脂溶性βブロッカー、ステロイド、一部の造影剤で抑制される。

放射性物質に暴露した場合、放射線活性のあるヨウ素が甲状腺濾胞細胞い取り込まれると、甲状腺機能低下および甲状腺癌のリスクとなる。ヨウ化カリウムを摂取することにより、濾胞細胞に取り込まれるヨウ素のうちの放射性ヨウ素の割合をさげ、放射線蓄積を下げる効果となる。

甲状腺機能低下症

筋力低下、Myoedema(叩いた部の筋収縮)、筋弛緩の遅延が初期症状になりうる。(1/3の患者は筋障害を呈する。)BW↑, fatigue, constipation, hoarseness, memory change, can be myxedema madness(hallucinations, paranoid), amenorrhea with hyperprolactinemia due to TRH。hyperlipidemia, hyperTG, HypoNa, CPK↑

先天性甲状腺機能低下症

甲状腺形成不全が最多の原因。ヨウ素欠乏はヨーロッパに多い。母体移行のT4が消失すると発症。顔などにnon-pitting edema。臍ヘルニア、巨大舌、T4は神経ミエリン化に必須のため脳発達障害となる。

他の先天異常としては、甲状腺のMigration障害による舌甲状腺等がある(甲状腺は咽頭膨大部で形成されて、下方に移動する)。

スクリーニングでT4低値もしくはTSH高値を発見し次第すぐに治療を行う。

エストロゲンの甲状腺ホルモンの影響

妊娠、エストロゲン補充量などのエストロゲン上昇時はTBGが増加するため、FreeT4、FreeT3は低下する。その結果、TRH、TSHが亢進し、増加したTBGが満たされるまで、甲状腺ホルモン産生が亢進する。最終的にTotal T4、Total T3は増加することとなる。

 

甲状腺機能低下症に対してoralT4 (levothyroxine)補充時は、エストロゲン増加によるTBG増加に対して、levothyroxineを増量する必要がある。

妊娠中の甲状腺ホルモン

エストロゲンによるTBG増加によって甲状腺ホルモンのプール可能量が増え、甲状腺ホルモン産生は亢進する。またhCGは直接TSHレセプターを刺激し、甲状腺ホルモンの産生は亢進、TSHはネガティブフィードバックで低下する。

よってTSHの基準値は妊娠中は0.1-0.3以上と非妊娠時より低下する。またT4、T3の基準上限も通常の1.5倍となる。

橋本病等でレボサイロキシン服用中は妊娠判明後エンピリカルに30%増量し、4週間毎にTSHをチェックする。

ホルモン補充時は妊娠第一期(最初の3ヶ月)は催奇形性の低いプロピルウラシルに変更する。

産後甲状腺炎 Postpartum thyroiditis

出産後1年以内に起こる甲状腺機能亢進症。亢進状態の後、低下症になってからもとに戻る。ペルオキシダーゼ抗体が陽性となる。ヨウ素シンチでとりこみは低下。edema, BW↑, hypoNa

橋本病 Hashimoto (chronic autoimmune) thyroiditis

無痛性の甲状腺腫大。transient release of preformed hormone by Antithyroid peroxidase (aniti-TPO) Ab, radioactive iodine uptake is low,anti-T drug not work. beta blocker to control symptom, thyroglobulin increase, diffuse goiter 病理:リンパ球と形質細胞からなる単核球の重度の浸潤で、活動性の胚中心を伴う。残存している濾胞は濾胞上皮細胞が変化したHurthle細胞で囲まれている。

*橋本病を背景として、甲状腺リンパ腫は合併しうる。その場合、急速拡大する腫瘤による圧迫症状、発熱等を伴う。

*他の自己免疫性疾患、悪性貧血、セリアック病、副腎不全、性腺機能不全、1型糖尿病等の合併もありうる。

Bioactive T4 is defined by non-binded T by TBG (E influence), Alb, transthyretin

Euthyroid sick synd

low T3 syndromeとも言われ、重症患者で見られる。T4からT3への変換が減るために起こる。逆に不活状態リバースT3への変換が多くなる。治療は行っても予後に影響はないため、行わない。

潜在性甲状腺機能低下症 Subclinical hypoT

T4/T3 normal but moderate increase in TSH。治療は抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体陽性(有症候性になる可能性が高い)、脂質異常、有症候性、排卵・月経障害時に適応となる。狭心症の術前に判明した甲状腺機能低下症は、重篤なのものでなければ、心筋酸素需要を増やすため、治療開始は注意が必要。

HyperT bone disease

increase bone resorption and risk of fracture, especially if left untreated.

Myopathy relating to thyroid

proximal atrophy, hyper or normal reflexia

グレーブス病 Graves (hyperthyroidism)

TSH receptorに対する自己抗体 (TRAb) (Thyroid stimulating immunoglobrin=TSI)による甲状腺機能亢進。

また、TRAbは皮膚の繊維芽細胞のレセプターも刺激し、T細胞を活性化し、過剰なグルコサミノグリカン、ヒアルロン酸や脂肪細胞、繊維芽細胞の増殖により、硬結、厚い皮膚の甲状腺皮膚症となる(ミキソエデーマmyxedema)。眼球突出も同じ機序で生じる(筋、脂肪組織の拡大)。

TSH receptor blocking antibodiesも認められ、この抗体の割合が機能亢進の強さを決定する。

ヨウ素シンチでびまん性の集積亢進。

病理:背の長い、密集した濾胞上皮細胞

治療

  • 抗甲状腺薬:プロピルチオウラシルPTU(liver risk)methimazole(抗好中球細胞質抗体産生と直接的骨髄障害のため、無顆粒球のリスク催奇形性のリスク) 治療開始後はTotal T3、FreeT4で評価する。TSHは数ヶ月まで抑制されている可能性あり、信頼性は低い。
  • radio-iodine ablation(risk of opthalmopathy and hypoT),
  • 手術 (first beta and anti T drug and then RAI or surgery)
  • ステロイド:T4からT3の変換阻害。抗炎症効果により眼球症状の改善。アブレーションによる悪化の予防
  • 無症候性の甲状腺機能亢進症は、重度のTSH抑制(0.1μU/ml以下)、合併症リスク(65歳以上、冠疾患、骨粗鬆症)時に考慮する。

Neonatal thyrotoxicosis

 transplacental passage of anti-TSH receptor antibody. needs methimazole and be-ta blocker after birth.

無痛性甲状腺炎 Silent/painless thyroiditis

small nontender goiter, TPO抗体が陽性, spontaneous recovery, postpartum thyroiditis is similar.

亜急性甲状腺炎 Subacute (de Quelvain) thyroiditis

通常ウイルス感染後に生じ、交差感作が原因と推測されている。痛みを伴う甲状腺腫大, 発熱、炎症反応( ESR, CRP)一過性の甲状腺機能亢進によるTSH低下とそれに付随したヨウ素のアップテークの低下

 

病理:濾胞の破壊と、多核巨細胞を含む混合細胞浸潤。

治療:NSAIDsとβブロッカー。抗甲状腺薬は無効。

甲状腺薬乱用 Exogenous T hormone

痩身目的にて。サイログロブリン(甲状腺濾胞から放出される内因性甲状腺ホルモンの前駆物質)レベルは低値。radio uptake↓。

病理:甲状腺組織の萎縮。

ヨウ素誘発高甲状腺ホルモン血症

背景として結節性甲状腺疾患や慢性的なヨウ素欠乏がある。

ヨウ素暴露後(造影剤、アミオダロンのAIT1等)に発症する高甲状腺ホルモン血症。

治療はβブロッカー、抗甲状腺薬。

アミオダロンの甲状腺への影響

アミオダロンの甲状腺への影響
末梢でのT4からT3への変換阻害

TSH正常ー軽度上昇

T4上昇、T3低下

経過観察
甲状腺ホルモン合成阻害 TSH上昇、T4低下 レボサイロキシン
AIT type1=ヨウ素誘発の甲状腺ホルモン合成促進 TSH低下、T3上昇、T4上昇、ヨウ素取り込み低下、エコーで血流増強 抗甲状腺薬
AIT type2=破壊性甲状腺炎 TSH低下、T3上昇、T4上昇、ヨウ素取り込みゼロ、エコーで血流低下 ステロイド

*AIT = Amiodarone induced thytotoxicosis

アミオダロンは末梢でのT4からT3への変換を障害するため、TSH軽度上昇、T3低値、T4高値となる。

無欲性甲状腺中毒症 Apathetic Thyrotoxicosis

甲状腺中毒症状の非典型的な形。高齢者に見られ、混乱、意識低下、抑うつで発症する。しばし痴呆症と誤診断されうる。

Thyroid storm

after surgery or trauma in inadequately treated hyperT.

甲状腺乳頭癌 Papillary cancer

最も頻度が高い。

まずはリンパ節転移等の病期分類。根治治療としては1cm未満であれば部分切除、以上であれば全摘。その後、radioiodine ablation。

病理:中心部に石灰化を伴う枝分かれする乳頭(Psammoma body)と核内封入体すりガラス様、空胞性の核(Orphan Annie eye)

甲状腺髄様癌 Medullary thyroid cancer

傍濾胞のcalcitonin産生C細胞の腫瘍。1/3はMEN type 2 (RET異常、褐色細胞腫)のA(副甲状腺過形成)もしくはB(マルファン様等)。カルシトニンによる下痢、紅潮の症状あり。

病理:巣状、シート状の多角もしくは紡錘状の細胞と、細胞外のアミロイド沈着(カルシトニンに由来する。コンゴレッド染色陽性)

術後もカルシトニンの高値を認める場合はCTによる頸部および肺の評価を行いう。

甲状腺濾胞癌 Follicular thyroid cancer

2nd common, age40-60, firm thyroid nodule, cold nodule, invasion of the tumor capsule or blood vessel, hematogenous metato lung and bone

*甲状腺腫瘍治療後のTSH維持レベルは正常下限になるようにして、TSHによるがん再発を予防する。

未分化甲状腺癌 Anaplastic thyroid cancer

60才以上に多い。

病理:多形性細胞、不規則巨細胞、2相性紡錘状細胞

Benign follicular adenomas

same FNA finiding as follicular cancer. no invasion

甲状腺結節 Thyroid nodule

*大きい低機能性結節は甲状腺がのリスクが高い

1=check TSH and US, 2=cancer risk+, then fine needle aspiration, 

  • cancer risk-, TSH normal or high=FNA
  • cancer risk-, TSH low=シンチ.

シンチで取り込み亢進 (hot nodule)であればまず甲状腺機能亢進症の治療。FNAは不要。

シンチでcold nodule=FNA

 

PTH & Ca

Multiple endocrine neoplasm (MEN)

  • type1; MEN1遺伝子異常。hyperPTH, 前下垂体腺腫, gastrinoma (recurrent ulcer)/pancreatic tumor。胸腺腫のリスクもある。#3Ps(paraT, Pituitary, Pancrease)。若年によく発症し、通常副甲状腺手術が必要となる。
  • type2A; RET遺伝子異常あり。medullary thyroid cancerpheochromocytoma, parathyroid hyperplasia,
  • type2B; 常染色体優性遺伝。RET遺伝子異常。medullary thyroid cancerphechromocytoma, mucosal neuroma(無痛性の結節), marfanoid habitus.

 

低副甲状腺ホルモン症

原因で最多は甲状腺手術治療時の副甲状腺損傷。他にautoimmune, Digeorge, defective-Ca sensing receptor, hemochromatosis,Wilson, neck irradiation等。低Ca血症となる。治療はPTHによって活性化された形である、カルシトリオール(活性化ビタミンD)もしくはカルシフェロール(ビタミンD)とカルシウム投与。上記によっても軽度低カルシウム血症が残り、高カルシウム尿の場合(PTHは尿中カルシウムを再吸収する)はサイアザイドを追加する。

 

高副甲状腺ホルモン血症

PTHは溶骨性に血中Ca、血中P増加、尿からのCa再吸収とPの再吸収抑制の作用。結果として高Ca血症低P血症(高リン尿症)となる。骨吸収は四肢の緻密骨が多く、骨皮質が薄くなり、骨膜下の潰瘍として写る。ソルトアンドペッパー用の頭蓋骨。(骨粗鬆症は骨梁(骨内部))

  • secondary to malabsorption of VitD in the intestine due to malabsorption or diarrhea. 胃手術後に呈することも多く、ビタミンDは2000-3000unit/dayの補充を要する。
  • secondary to Renal failure=P retention, reduced renal VitD, low Ca cause PTH↑, cause HTN
  • Primary=副甲状腺の腺腫が最多。治療は手術摘出。 cause hyperCa, cause nephrolithaisis, osteoprosis

PTH related protein; in squamous cell carcinoma, PTH↓, Ca↑

 

高カルシウム血症

  • 診断のまず第一歩はPTHの測定。
  • PTH↑=PTH dependent, hyperPTHism、原発性高PTH血症
  • PTH↓=PTH independentであり、malignancy(most common, due to PTHrP, 25-hVitD and 1,25-dihVitD remain normal in most case) or がん骨転移/骨髄腫 (溶骨性, PTH, PTHrP低値、VitD低値)or Vit D toxicity, サルコイドーシス、結核、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫におけるPTH非依存性の活性型VitD変換。寝たきり immobilization(特に若年者やパジェット病患者で)も原因となる(治療はBisphosphonates)。
  • PTH→Familial hypocalciuric hypercalcemia (FHH); 常染色体優性遺伝。Caセンシングレセプター(G蛋白)の欠損により、PTH分泌が抑制される血中Caレベル上がっている。そのため、PTHが軽度上昇、低Ca尿、高Ca血症となる。通常無症状。

 

Milk-alkali synd;excessive intake of Ca, absorbable alkali, renal vaso constriction, loss of sodium&water polyuria, constipation, abd pain

低カルシウム血症

しびれ感、鈍感。筋肉クランプ、Trousseau兆候、Chvostelk兆候(刺激による顔面筋の収縮)といった神経筋過活動。神経症(不安、抑うつ)。基底核の石灰化は慢性低Ca血症に見られる。

 

最多の原因は甲状腺手術時の副甲状腺損傷、自己免疫性の低PTH、敗血症、腫瘍崩壊症候群、急性膵炎、ビタミンDやマグネシウム欠乏、Chelation(輸血、EDTA)

 

check 1 hypoalbumin, 2 hypoMg

低カルシウム血症の鑑別
疾患 リン PTH
ビタミンD欠乏
PTH低下症
偽性PTH低下症(末梢性のPTH抵抗性)
高リン血症

 

Hyperventilation→alkalosis→Ca binded with Alb increaseionated Ca decrease

Osteomalacia; Vit D deficiency due to malabsorption(セリアック病等), liver or kidney diseases. Ca↓, P↓, PTH↑

 

Adrenal & Pituitary

SIADH

下垂体後葉もしくは肺小細胞癌等による。ADHにより水分貯留の働きがあるが、増えた体液による利尿効果、アルドステロン低下により、Na低下および体液の正常化となる。(Euvolemic hyponatremia

通常は浸透圧(>285mOsm/kgH2O)に対する反応として分泌されるが、浸透圧以外の応答として痛み、嘔気、身体・感情的なストレス、低血圧、脱水、低酸素、低血糖により分泌される。そのため、脳卒中、脳外傷、カルバマゼピン、SSRI、NSAIDS、肺炎、小細胞癌等が原因となりうる。

治療は高張性生食(3%)を用いる。通常の生理食塩水や細胞外液では自由水が蓄積し、低Naが進みうる。

心不全に合併した低Na血症は、無症候性であれば、利尿薬の調整、水制限をまず行う。有症候性であれば、トルバプタンの投与を行う。

ニューロフィジン

ニューロフィジンは視床下部で産生されたADHとオキシトシンを下垂体後葉へ運ぶ蛋白であり、これが欠損すると、ホルモン分泌障害となる。ニューロフィジンIIはADHのみの運搬に関与しており、常染色体優性遺伝の遺伝性尿崩症に関連が示唆される。

下垂体腺腫 Pituitary adenoma

  • プロラクチノーマProlactinoma:最頻プロラクチンのfeedbackにより視床下部からのGnRH分泌が減少するために女性:無月経、男性:性欲減退、不妊等を生じる。そのため、骨粗鬆症のリスクともなる。治療=10mm以上のサイズもしくは有症候性で、プロラクチン分泌のドーパミン制御を用いたdopaminergic agonist (cabergoline, bromocriptine)の経口投与により、プロラクチンの減少、サイズ縮小が期待できる。手術治療を要することはまれである。
  • 非機能性下垂体腺腫 nonfunctioning pituitary adenoma:LH,TSH↓, FSHは非機能性のα-subunitのみの亢進。Prolactin normalから軽度上昇のみ 治療:圧迫による視神経症状等の場合は経蝶形骨洞手術
  • 下垂体への腫瘍性病変の転移時は、視床幹部からのドーパミン性の制御がなくなるため、下垂体からのプロラクチン分泌が亢進する。(他のホルモンは刺激がなくなり、減少する。)

クッシング病

  • 下垂体腺腫によるクッシング症候群。クッシング病に対して両側副腎摘出を行った後に、下垂体が増加し、ACTH分泌亢進による色素沈着するものをネルソン症候群という。

下垂体卒中

下垂体腺腫を背景に発症する下垂体内の出血。ACTH欠乏から副腎皮質不全になり、循環虚脱となる。

偶発性下垂体腫瘍

ホルモン分泌異常のない非機能性の場合はMRIでの経過観察となる。

Sheehan syndrome

エストロゲンで過形成した下垂体の分娩後の虚血性壊死。リスクは分娩時の出血、低血圧。甲状腺機能低下症状は半減期より数週間かかる。hypoNa, but mineralocorticoid production is rather preserved and this symptom is not severe.

Panhypopotuitarism

central adrenal insufficiency (low cortisol, low ACTH),hypogonadotropic hypogonadism(low FSH, LH, testosterone), central hypothyroidism (low TSH, low T4), but aldosterone is kept due to RAA system regulation.

precocious 早熟

bone age normal=isolated breast development (thelarche), isolated pubic hair (adrenarche副腎皮質症)

advanced bone age= high LH (baseline or GnRH stimulation)= central precociuus puberty思春期, low LH= peripheral, ex; nonclassic congenital adrenal hyperplasia(due to partial 21-hydroxylase deficiency),

骨端板(epiphyseal plate、成長板)は性ホルモンに反応性で成長するが、同時に閉鎖にも向かう。早熟成長の場合は結果的には低身長となる。*成長ホルモンによるソマトメジンC(IGF-1)による成長の場合は骨端板は閉じずに成長する。

思春期遅発症 Delayed Puberty

男児においては14歳で精巣の4ml以上の発達を認めないもの。

FSH、LH,テストステロン、TSH、プロラクチンの検査を行う。

女性化乳房

高齢者の生理的女性化乳房は精巣由来のテストステロン減少と脂肪組織内のアロマターゼによるテストステロンからエストロゲンの変換亢進による。

*2/3の少年は過剰なエストロゲン産生のため、gynecomatia (女性化乳房)を呈しうる。通常1年以内に自然改善する。4cm以下の片側もしくは両側性。

偽性女性化乳房とは脂肪組織によるもの。

先天性副腎過形成 Congenital adrenal hyperplasia

・21-ヒドロキシラーゼ欠損

最多の原因。常染色体劣性遺伝21-ヒドロキシラーゼ遺伝子(プロゲステロンから11−デオキシコルチコステロンの変換)の欠損によりアルドステロン、コルチゾールが生成できない(プロゲステロン、テストステロンは可能)。aldosteron↓, cortisol↓, testosterone↑,により高K血症、低Na血症、嘔吐、低血圧となる。酵素の残余機能により3つのフェノタイプに分かれる。17 OHプロゲステロン↑となる治療は生理的用量のコルチコステロイドを投与し、過剰なACTH分泌を抑制する。

  • Classic, salt-wasting: complete21-hydroxylase deficiency。女児は曖昧な陰部で出生。男児は生後1−2週で脱水、高K、低Naで生存が難しい。
  • Classic, non-salt-wasting: partial21-hydroxylase deficiency。女児は曖昧な陰部で出生。男児は生後2−4年で早期男性化。
  • non-classic: delayed: 早期陰部発毛。女性はアクネ、hirsutism多毛、不規則月経。電解質異常なし。治療はハイドロコルチゾン。

・11β-ヒドロキシラーゼ欠損

ミネラルコルチコイド、グルココルチコイド生成において21−ヒドロキシラーゼの先の酵素欠損(11-デオキシコルチコステロンからコルチコステロンへの変換)であり、アルドステロン、コルチゾールの前駆体まで生成される。コルチ−ゾルは欠乏し、feedbackによりアンドロゲン生成が増える。またアルドステロン前駆体はミネラルコルチコイド活性があるため、高血圧、低K血症を伴う。

・17α-ヒドロキシラーゼ欠損

酵素欠損によりミネラルコルチコイドの系しか合成が進まないが、アルドステロンの前駆体にグルココルチコイド活性があるものがあり、ミネラルコルチコイド上昇、グルココルチコイド上昇となる。アンドロゲン欠損により発言形はすべて女性型となる。

球状層   束状層   網状層    
コレステロール            
↓(側鎖分離酵素)            
プレグネノロン
(17α-ヒドロキシラーゼ)
17-OH プレグネノロン デヒドロエピアンドロステロン    
       
プロゲステロン
(17α-ヒドロキシラーゼ)
17-OH プロゲステロン アンドロステネジオン エストロン
(21-ヒドロキシラーゼ)   (21-ヒドロキシラーゼ)   ↓(末梢組織)  
11-デヒドロコルチコステロン
(弱い鉱質コルチコイド作用)
  11-デオキシコルチゾール    
(11β-ヒドロキシラーゼ)   (11β-ヒドロキシラーゼ)    
コルチコステロン
(弱い糖質コルチコイド作用)
     
     
アルドステロン
(鉱質コルチコイド)
  コルチゾール
(糖質コルチコイド)
  テストステロン
(アンドロゲン)

(アロマターゼ)
エストロゲン

アロマターゼはゴナドトロピン依存性に卵巣おもに発現し、他には副腎皮質、皮下脂肪、乳腺にも存在する。閉経後は、副腎および卵巣でのアンドロゲンの産生は続くが、卵巣でのエストロゲンへの変換は消失するため、少量のエストロゲンは卵巣外のアロマターゼによって維持される。エストロゲン性の乳がん等にアロマターゼ阻害薬(anastrozole, letrozole, exemestane)は用いられるが、閉経前の場合は卵巣のアロマターゼはゴナドトロピンによってアップレギュレートされるため効果が薄いが、閉経後の場合は卵巣外のアロマターゼを阻害して効果が得られる。

 

GnRH、卵胞刺激ホルモンFSH、黄体形成ホルモンLH

GnRHの律動的な分泌により、FSH、LH分泌が促される。

LHは精巣間質のライディッヒ細胞からテストステロンの分泌を刺激する。ライディッヒ細胞からのテストステロンは胎児の男性型内部生殖器器官を発達させる。

FSHは精細管seminiferous tubulesのセルトリ細胞からインヒビンBの分泌を刺激する。FSHはセルトリ細胞からアンドロゲン結合蛋白を局所分泌し、テストステロン濃度を高めることと、FSHの作用で精子形成を進める。セルトリ細胞は胎児における内部女性生殖器官を退行させる抗ミューラーホルモンAMH(ミューラ抑制因子 MIF)を分泌する。セルトリ細胞が欠損すると、女性内部生殖器を持つことになる。

テストステロンとGnRHとLHを抑制し、インヒビンBはFSHを抑制することで、下垂体にnegative feedbackとなる。

リュープロライドはGnRH作動薬であり、投与開始時はLHの一次的な上昇を認めるが、持続的なGnRH作用により、下垂体のLH分泌は徐々に低下する。

性発達

下記3つのホルモンによって規定される

  • テストステロン:男性の内部の性器形成、精子形成、男性思春期発達
  • デヒドロテストステロン(DHT):男性の外部の性器形成、前立腺の発達、男性型毛髪、テストステロンの作用増強、テストステロンが5αリダクターゼによって変換された活性体。
  • エストロゲン;子宮内膜増殖、卵巣顆粒膜細胞の発達、乳房の発達

5α−リダクターゼの欠損により、テストステロンからデヒドロテストステロンへの変換が障害されると、男児の仮性半陰陽となり、女児型の外性器を持ちうることになる。

更年期障害に対するホルモン補充療法(エストロゲン、プロゲステロン)

利点:更年期障害の症状改善、大腸がん、糖尿病予防効果、60歳までの死亡抑制

欠点:静脈血栓症、乳がん、60歳以上での冠動脈疾患、脳卒中、胆嚢疾患

中立:認知機能、子宮がん・卵巣がん(プロゲステロンによりリスクは変わらない)、60歳以降の死亡率

以上であるため、50−59歳の若い女性で低リスク(非喫煙、乳がん・静脈血栓・冠動脈疾患歴なし)に短期間(3−5年)使用することは利点が高いと考えられる。

Menopausal hormone therapy for the primary prevention of chronic conditions: a systematic review to update the U.S. Preventive Services Task Force recommendations

抗アンドロゲン薬

LH低下効果:GnRH作動薬(リュープライド)

ライディッヒ細胞でのテストステロン合成抑制:ケトコナゾール(ただし弱い作用)

末梢組織でのテストステロンからDHTへの変換抑制5α-リダクターゼ阻害薬(フィナステリド(プロペシア)。前立腺腫大の抑制効果と男性型脱毛症への効果がある。)

臓器でのアンドロゲン受容体遮断フルタミド、シプロテロン、スピロノラクトン

アンドロゲン受容体の抑制作用があるものはスピロノラクトンとフルタミド、Cyproteronがある。

McCune-Albright syndrome

GNAS 遺伝子異常によるG蛋白の持続性活性化。繊維芽細胞亢進による溶骨、メラノサイト亢進によるカフェオレ斑

大腿骨や骨盤の多発性の溶骨性病変(病的骨折)。内分泌亢進症(GnRH非依存性の下垂体亢進や甲状腺)、Cafe-au-lait 斑

hyperandrogenism

Androstenedione (AS), DHEA, T are produced in both ovaries and adrenal

DHEA sulfate (DHEAS) is produced only in adrenal grands

Ovarian tumor=testosteroneDHEAS

adrenal tumor= testosterone↑DHEAS↑

Kallman 症候群

migration of fetal olfactory and GnRH producing neuron, anosmia嗅覚障害, 2次性徴の障害。GnRH分泌障害のため、Low FSH and LH

アンドロゲン乱用

テストステロンによるRBC産生亢進。LDL上昇、HDL低下。ニキビ。性腺刺激ホルモンが抑制され、睾丸萎縮、精子形成低下する。

男性性腺機能不全 Male hypogonadism

  • primary(LH,FSH↑)=精巣(mumps, radiation, Klinefelter), 
  • secondary(LH,FSH↓)=下垂体、視床下部性(高プロラクチン血症, 長期ステロイド使用、蛋白同化ステロイド乱用), 腎不全、肝不全、糖尿病、ヘモクロマトーシスによる鉄沈着のための下垂体不全

Klinefelter症候群

男性の性腺機能低下症の最多の原因。無精子症。精細管の進行性の破壊と硝子化により精巣が小さく硬化する。セルトリ細胞の障害によりインヒビンは乏しい。ライディッヒ細胞も機能障害であり、テストステロン値は低い。feedbackがなくなっているため、LH、FSHは上昇している。これらに刺激されアロマターゼが活性化しエストロゲン高値となり、女性化乳房等になる。多くは47 XXYとなる。軽度の知能障害。

末端肥大症 Acromegaly

成長ホルモンの過分泌による成長効果と、insulin like growth factor-1(IGF-1)の肝臓での産生も増えることによる組織発達効果による。検査:IGF値の上昇(GH値は変動が大きく、信用性が低い。) oral glucose suppression test of GH

coarse facial feature, arthralgia, digit enlargement, carpal tunnel synd, 高血圧、左室肥大、拡張不全。糖尿病のリスク。

骨端板が閉じる前の小児に発症した場合は巨人症となる。

褐色細胞腫 Pheochromocytoma

症状:頭痛、発汗、頻脈、アドレナリン性の発作、治療抵抗性の高血圧

副腎髄質の神経内分泌細胞から発生。25%は遺伝性(VHL=von Hippel-LindauまたはRET=MENtype2またはNF1=神経線維腫の異常あり)。10%ルール(10%両側性、10%副腎外、10%悪性)。

病理:血管に富む、紡錘状や多角細胞の集簇。神経内分泌細胞であることはシナプトフィジン、クロモグラニン、神経特異的エノラーゼが染色される。膜に結合したカテコラミを含む顆粒を電顕で認める。

麻酔導入でEpiとNEのカテコラミンサージによる高血圧緊急症等のリスクがあり注意。nonselective βブロッカーの使用もα作用を増強するリスクがあり注意、αブロッカーを先行使用する必要がある。

検査:血清メタネフリン値、24時間尿中メタネフリン・カテコラミンに続いて、CT、MRIでの腫瘍の確認。

治療:手術摘除。術中高血圧にはニトプロ、ニカルジピン。低血圧に対しては補液や血管収縮薬(術前のαブロッカーに拮抗させる)、他に術中低血糖、頻脈リスクがある。

原発性アルドステロン症 Primary hyperaldosteronism

片側性アルドステロン産生副腎腺腫(Conn症候群)もしくは両側性副腎過形成による。 レニン、アンギオテンシンはnegative feedbackにより低下。Na再吸収亢進による高血圧, K再吸収低下によるhypoK (easily develop after thiazide use), H+再吸収低下によるmetabolic alkalosis。Na再吸収増加(高血圧、体液増加)により腎血流増加、GFR増加、ANP分泌亢進し、高Na血症や浮腫は認められない(アルドステロンエスケープ)。診断は血清アルドステロン・レニン比。Tx=Spironolactone, Eplerenone (aldosterone antagonist)

副腎は表層から

  • 球状層 zona glomerulosa:鉱質コルチコイド
  • 束状層 zona fasciculata:糖質コルチコイド
  • 網状層 zona reticularis:アンドロゲン
  • 髄質 Aderenal medulla:カテコラミン(80%エピネフリン、20%ノルエピネフリン)交感神経のアセチルコリン刺激で、直接全身の血流にカテコラミンを分泌し、交感神経の働きを高める。

Secondary hyperaldsteronism

レニン、アルドステロン共に増加。原因は腎動脈狭窄、利尿薬使用、悪性高血圧、レニン分泌腫瘍(良性傍糸球体細胞腫瘍)

クッシング症候群

デキサメタゾン抑制試験で高用量のデキサメタゾンでACTH、コルチゾール分泌が抑制される。高用量でも変化が認められない場合、異所性のACTH産生(腫瘍)と判断される。

病理:ACTHにより、球状層、束状層の過形成が認められる。

副腎不全 Adrenal insufficiency

症状:体重減少、腹痛、月経停止、疲労感、食欲低下、筋肉痛、性毛減少、色素沈着

  • primary(アジソン病)=cortisol↓, ACTH↑, aldosterone↑, hyperpigmentation , hyperK。原因=autoimmune
  • Central (Secondary:下垂体性、Tertiary=視床下部性)=cortisol↓, ACTH↓, aldosterone→(アンギオテンシン反応性に分泌できるため)。原因=chronic ACTH/steroid use。 no hyperpigmentation, no hyperK

急性副腎不全の原因:副腎出血/梗塞。慢性副腎不全/ステロイド使用に合併した急性疾患

慢性ステロイド使用は、CRH、ACTH、コルチゾールを分泌するそれぞれの細胞の萎縮招くため、ストレス時に追加分泌はCRH、ACTH、コルチゾールすべて、減少することになる。

糖質ステロイドの副作用

精神病の誘発(中止で改善する、低アルブミンがリスク)、白血球の血管壁から中心性の移動(末梢組織で感染対応している白血球が減少するため易感染性となる)。またT細胞のアポトーシスを起こす。

脂肪組織の分布変化、骨粗鬆症、肝臓での糖新生の増加グリコーゲン新生増加による肝細胞のグリコーゲン貯蔵増加、これらのための肝臓の蛋白合成増加皮膚の菲薄化、創傷治癒遷延。末梢骨格筋での異化亢進。

糖尿病の合併時は2型糖尿病に類似する。

 

extrapulmonary TB

common in adrenaland cause adrenal insufficiency(BP↓,K↓,Glu↓,eosino↑non-anion gap metabolic acidosis)

 

メチラポン刺激試験

メチラポンは11-デオキシコルチゾールからコルチゾールへの変換を阻害する。そのため、コルチ−ゾルによるnegative feedbackがなくなり、CRH、ACTHの分泌増加となる。増産された11-デオキシコルチゾールは肝臓で17-ヒドロキシコルチコステロイドに代謝されて尿中排出が増加する。

 

インシデンタローマ Incidentaloma

剖検の8%、腹部CTの4%に認められるという副腎の偶発発見性の腫瘤。

検査:電解質、デキサメサゾン抑制試験、24時間カテコラミン蓄尿。

治療:機能性腫瘍もしくは4cm以上は外科的摘出を行う。

 

糖尿病 DM

インスリンの作用は、グルコースの取込促進、グリコーゲン生成促進、糖新生抑制、グルカゴン分泌抑制、脂肪分解抑制、ケトン生成抑制、タンパク合成促進。

DMではインスリンを分泌する膵β細胞にはアミロイドペプチドの沈着を認める。

postprandial食後hyperglycemia。HbA1cはRBCのターンオーバーが早い場合は低値になる(サラセミア、溶血性貧血等)。1型糖尿病は自己免疫により90%以上の膵β細胞が破壊された時点で発症する。

血糖値の正常値は70−100mg/dl、60以下は低血糖。管理目標は80-140。

診断:A1c>6.5、空腹時血糖>126mg/dl、随時血糖>200mg/dl、OGT>200mg/dl(最も感度が高い)

糖尿病症状あり+上記いずれか陽性

糖尿病症状なし+上記いずれか陽性が2回確認された場合、糖尿病と診断。

厳格な血糖管理 Tight DM control

微小血管障害のリスクは減るが、冠疾患、脳卒中リスクは短期では変わらない。死亡率は変わらないかもしくは増加する。

 

糖毒性

グルコースは解糖系以外にもポリオール経路でも代謝される。この経路ではグルコースはソルビトールを経てフルクトースへ変換されて細胞外へ排出される。通常のグルコース濃度であれば、十分に処理されるが、糖濃度が高い場合は、ソルビトールが蓄積する。ソルビトールは細胞膜通過性は悪く、蓄積中に酸化ストレス、浸透圧ストレスをもたらす。これにより網膜症、神経障害、腎障害、白内障が生じる。

また、グルコースは非酵素的に蛋白や脂質と結合し糖化物を形成する。これらが蓄積し、LDL沈着等と合わさり炎症惹起することで、動脈硬化、微小血管障害となる。

 

インスリン抵抗性

インスリン抵抗性は肥満、高脂血症、運動不足による。遊離脂肪酸上昇はインスリン依存性の糖取り込みを抑制し、肝臓の糖新生を促進する。(脂肪細胞のインスリン抵抗により、インスリンの脂肪分解抑制作用が阻害され、遊離脂肪酸の上昇ともなる。)

インスリン抵抗性はTNFーα、グルカゴン、カテコラミンでも生じる。これらはインスリンレセプター以降のシグナル伝達系でセリンのリン酸化することで(セリンキナーゼの活性化)、伝達が障害されることによる。

 

糖輸送蛋白

グルコースは濃度差を利用して細胞に取り込まれるが、細胞膜の透過性は悪い。そのため、キャリア蛋白としてGLUTが用いられる。GLUTは輸送を助けるのみで能動的には汲み入れないため、エネルギーは消費しない(Facilitated diffusion)。Dグルコースの方がLグルコースよりもGLUTと反応性がよく、良好に細胞に取りれられる。

GLUT-4は骨格筋や脂肪細胞唯一のインスリン感受性の糖輸送。インスリン濃度上昇に伴って、GLUT-4の発現は増加する。他のGLUTはインスリン感受性はない。GLUT-2は肝臓、小腸、腎臓から循環系への糖輸出の働きや膵のインスリン分泌を助ける働きで、インスリン濃度とは無関係に一定に発現している。

膵β細胞でのインスリン分泌機序

グルコースがGLUT−2を介してβ細胞に入ると、グルコキナーゼ(これがβ細胞がインスリン分泌するかどうかのグルコースセンサーの働きとなる、また遺伝性の2型糖尿病素因となる)によってグルコース6リン酸に変換後、ピルビン酸となる。そしてクエン酸回路によりATPが産生される。ATPはAPT感受性Kチャネルに作用し、チャネルが閉鎖、それにより、脱分極し、電圧依存性Caチャネルが開口し、細胞内Caレベルが上昇することで、インスリンが放出される。なお、インスリンはプロインスリンとして生産され、分泌顆粒内でインスリンとCペプチドに分解される。分泌時に両者が血中に放出され、Cペプチドは半減期が35分と短いため、インスリン分泌の指標となる。

このグルコキナーゼの遺伝子異常により、成人の若年発症の糖尿病の原因となる。特に妊娠糖尿病との遺伝的素因と考えられている。

β−2刺激、GLP−1はインスリン分泌を亢進させ、α−2刺激、ソマトスタチン−2はインスリン分泌を低下させる。

GLP-1とGIP

糖が経口摂取した場合、点滴投与よりもインスリン濃度が上昇する。これは腸粘膜よりインクレチンが分泌され、血糖非依存的にインスリン分泌が促されるためである。インクレチンにはGlucagon-like peptide-1(GLP-1)とGastric inhibitory peptide(GIP)等がある。

抗糖尿病薬

  • ビグアナイド(Metformin):AMPKを刺激する。肝グルコース産生低下、末梢組織のグルコース利用促進(インスリン抵抗性の改善)。低血糖のリスクなく、最初の治療に用いられる。高齢、、肝障害患者において乳酸アシドーシスのリスク(小腸で産生された乳酸は肝臓でグルコースに変換されるが、これをビグアナイドは抑制)。また大量の造影剤と用いると乳酸アシドーシスはよりリスクがあがるため、投与当日に中止し、2日後に再開する。肥満の改善効果もあり、肥満患者によく適する。GFR<30以下は禁忌。
  • SU、メグリチニド:膵β細胞の膜イオンチャネルであるATP依存性Kチャネルを阻害しインスリン分泌を促す。メグリチニドの方がSUよりも半減期が短く、食後高血糖に有効。after Metformin failure, 体重増加のリスクあり, 低血糖のリスクあり。
  • チアゾリジン(Pioglitazone):when Met or SU is not feasbile, 体重増加のリスクあり集合管でのNa吸収が増加し、浮腫、肺うっ血のリスクあり。Bladder Ca
  • αGI:小腸でのジサッカロイドの吸収阻害
  • DDP-4阻害薬:内因性のGLP、GIPを増加させる。BW→。膵疾患関連は禁忌
  • SGLT-2阻害薬:近位尿細管での糖再吸収するSGLT2(sodium glucose cotransporter)を阻害。腎障害時には効果が乏しく、感染合併症のみ増えるため、投与前に腎機能の確認が必要内因性のインスリン分泌が減る結果、絶食、手術侵襲や過剰なアルコール摂取等にインスリン欠乏となり、等血糖性糖尿病性ケトアシドーシス Euglycemic diabetic ketoacidosis (euDKA)になる。
  • GLP-1 agonist:G蛋白アデニル酸シクラーゼ性の細胞膜蛋白に作用。グルコース依存性のインスリン分泌を促進。グルカゴン分泌を抑制。胃のemptyingを抑制。possible second agent for Met,BW↓, low risk of HypoGlu。膵疾患関連は禁忌
  • インスリン:チロシンキナーゼ受容体に作用。リコンビナントヒトインスリンは通常型インスリンとNPHのみで、他はすべてインスリンアナログ製剤。超速効型はリスプロ、アスパルト、グルリジンで食前に注射。1型糖尿病では運動時はインスリン必要量が減るため、短時間の運動時は短期型インスリンの減量(premeal-bolus insulin)、長時間の運動時はNPH/長時間作用型インスリン(Basal-bolus insulin)を減量する。NPH/長時間作用型インスリンを比べると、NPHの方が低血糖リスクは高い。

チアゾリジン系:ピオグリタゾン等。細胞の核内に入り、PPARーγに結合し、さらにRXRに作用する。その結果、糖と脂肪の代謝に関わる遺伝子の転写調整に作用し、その発現を変える。そのため、効果発現に1周間程度、時間がかかる。(フィブレートはPPARーαに作用)

効果としては脂肪酸の取込上昇、アディポネクチン(脂肪細胞により産生されるインスリン感受性と脂肪酸酸化を促進するサイトカイン)の産生上昇、筋/肝でのインスリン感受性上昇、TNF-α産生低下、レプチン産生低下(脂肪細胞が賛成する食欲抑制ホルモン)。

副作用としては体液貯留(集合管でのNa再吸収)。脂肪組織による体重増加(脂肪細胞の脂肪貯蓄増加、皮下脂肪織の増加)

糖尿病合併症 DM complication

冠動脈疾患での死亡率が最も高い(40%以上の患者で)。

100mg/dl以上の空腹時血糖値により冠動脈疾患のリスクが上がる。

HHS

2型糖尿病に合併。アシドーシスなし, Glu>600, central nerve Sx (blurry vision, etc) due to hyperOsm, hyperK but total K is depleted

糖尿病性ケトアシドーシス DKA

1型糖尿病に特徴的で2型糖尿病では珍しい。

acidosis, Glu>300, abd pain, 高K血症だが、全身のKは尿糖による浸透圧利尿と体液減少によるアルドステロン亢進により減っている。血清アニオンギャップもしくは beta-hydroxybutyrateが治療の指標となる。血糖値200以下で糖輸液を加える。アニオンギャップが正常化したら、皮下インスリンに変更。しかし2時間は点滴インスリンを継続する。

ストレス性高血糖

急性疾患に伴う(39度以上の発熱、髄膜炎、ICU入室等)。高血糖、ケトアシドーシスを伴うが、過去に糖尿病症状なく、A1Cも正常であることよりDKAは否定できる。

糖尿病性神経障害 DM neuropathy

深部感覚が障害されやすく、音叉テスト Tuning fork testを行う。

axonopathy in small fiber (pain)large fiber(proprioception, vibration), or pathchy demeyelization 疼痛に対する治療はSNRI(duloxetine)、プレガバリン、三環系抗うつ薬を用いる。

 

DM autoimmune neuropathy; delayed gastric emptying, Tx=metoclopramide

 

DM foot; monofilament test to diagnose

妊娠糖尿病

まず、50g糖負荷試験で1時間後に140mg/dl以上であれば、

100g糖負荷試験で血糖値の推移を確認して診断する。

空腹時血糖やHbA1cは妊娠糖尿病に対して信頼精度は低い。

治療にはインスリン、メトホルミン、グリブリドを用いる。

出産後は血糖値は妊娠前のレベルに戻るため、出産後はインスリンもしくは糖尿病薬は不要。しかし妊娠前に糖尿病があった可能性は否定できないため、産後1−3日に空腹時血糖検査と6ー12週でOGTTを行う。

グルカゴノーマ Glucagonoma

膵ランゲルハンス島α細胞の腫瘍。グルカゴン産生による高血糖、糖尿病。鼠径、顔、四肢の壊死性遊走性紅斑necrotic migratory erythema,他には体重減少、下痢、腹痛、顔面紅潮、VIPやカルシトニン、GLP1等の産生。

グルカゴンは肝細胞のG蛋白性受容体にはたきかけ、肝臓での糖新生とグリコーゲン分解により血中グルコースを上昇させる。

低血糖 Hypoglycemia

インスリン使用中患者において、運動時は筋組織へGLUT4を介した糖取り込みが増えるため、低血糖になりやすい。またインスリン投与部がよく動かす皮膚だと運動で吸収も高まりやすく、低血糖になりやすい。

重度の低血糖の場合、治療はグルカゴンの筋注・皮下注が有効である。ブドウ糖の口腔粘膜吸収は遅く、有効的でないことが多いとされる。

SU剤中毒の場合はソマトスタチンも適応となる

鑑別

  • insulin, proinsulin, c-peptide↑=insulinoma (beta cell tumor) or SU use
  • only insulin↑=exogeneous insulin
  • all↓=non-beta cell tumor=insulin like growth factor II (IGF II)

低血糖時はアセチルコリン性(発汗、空腹感、知覚障害)とエピネフリン・ノルアドレナリン性(頻脈、震え、不安感)の交感神経作用が生じるが、βブロッカーを服用している場合、後者はマスクされるため、注意が必要である。

糖新生;(Alanine, Lactate, other amino acids)→Pyruvate→Oxyaloacetate→Citric acid cycle→Malate→Glucose

Refeeding synd; insulin surgecause low P, Mg and K

 

糖尿病の母からの出生

高血糖の影響で児のインスリン分泌が亢進し、成長がすすみ巨大児となる。出生時に鎖骨骨折のリスク。臓器腫大、心奇形、多血症。児のインスリン分泌は亢進、膵が過形成しているため、出生後に一時的な低血糖となる。

 

VIPoma (vasoactive intestine peptide)

pancreatic cholera, flushing mass in pancrease

 

遺伝性リポタンパク質血症

  蛋白欠損 上昇脂質蛋白 臨床症状
家族性カイロミクロン血症
(Type I)
Lipoprotein lipase(LPL)
ApoC-II
トリグリセリド(特にChylomicron 膵炎
網膜脂質症
発疹状黄色腫
家族性高コレステロール血症
(Type II A)
LDL receptor
ApoB-100
LDL 若年冠疾患
家族性異βリポタンパク質血症
(Type III)
ApoE トリグリセリド(Chylomicron remnant
VLDL remnant)
若年冠疾患
末梢血管疾患
手掌黄色腫
家族性高トリグリセリド血症
(Type IV)
ApoA-V VLDL 膵炎リスク
肥満、インスリン抵抗性

トリグリセリド値はヘパリン投与により消去されることを用いて測定される。

脂肪組織の分布変化

抗HIV薬:四肢、顔面の脂肪組織がへり、体幹が増える。

褐色脂肪細胞

新生児の体重の5%を占め、成人では非常に少ない。新生児は低体温になりやすいため、褐色脂肪細胞により体熱を産生する働きがある。褐色脂肪細胞には小さな細胞質内脂肪空胞とミトコンドリアが多数含まれ、酸素需要が多く、毛細血管も豊富である。褐色脂肪細胞のミトコンドリアではATPは産生されず、熱が産生される。

Bariatric Surgeryの適応

BMI>40

BMI>35でかつ重篤な合併症(2型糖尿病、高血圧、睡眠時無呼吸症候群)がある場合

BMI>30であkつ治療抵抗性の2型糖尿病もしくはメタボリックシンドロームがある場合。

高脂血症薬剤

薬剤名 作用機序 効果 副作用
スタチン HMG-CoAリダクターゼ阻害 LDL↓↓
TG↓
肝障害
筋障害
エゼチミブ Nieman-Pick c1-like1(NPC1L1)輸送蛋白抑制による小腸でのコレステロール吸収抑制 LDL↓ スタチン併用で肝障害リスク
胆汁酸抑制剤 小腸での胆汁酸の再吸収抑制
(コレステロールから胆汁酸合成亢進)
LDL↓
TG↑
嘔気、腹満
薬剤や脂溶性ビタミンの吸収障害
肝TG産生増加
ナイアシン 脂肪酸の放出抑制
VLDL合成抑制
HDLクリアランス低下
LDL↓
HDL↑↑
フラッシング、掻痒感
肝障害
高尿酸血症、痛風
フィブレート PPARーαの活性化
VLDL合成抑制
TG↓↓
HDL↑
筋障害
胆石
フィッシュオイル
オメガ3脂肪酸
VLDL合成抑制
アポリポプロテインB合成抑制
TG↓
HDL↑
魚の味

 

ナイアシンは最もHDL上昇効果のある薬剤であるが、心血管イベントを下げるエビデンスはない。腎臓での尿酸排出を抑制するため、通風性関節炎のリスクがある。

また、プロスタグランジンの放出を促すため(主にPGE2, PGD2)、フラッシィング(ほてりや掻痒感)を惹起する。アスピリンはプロスタグランジンの合成を抑制するため、ナイアシン投与の30分から60分前にアスピリン投与することで著明に減少させることができる。

一次予防として40歳以上の1型もしくは2型糖尿病患者にはスタチン内服が推奨される。

アスピリンは50−70歳以上の有リスク患者に一次予防として推奨

眼底検査は1型糖尿病は診断後5年に、2型は診断時に施行。

 

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