嘔気と嘔気中枢、薬剤
- 内耳はH1受容体、M1受容体
- 延髄の化学受容体トリガーゾーン(CTZ)はD2受容体
- 口腔は舌咽(9)神経、胃は迷走神経性(5−HT3受容体)
以上からの信号が延髄の嘔気中枢に伝わり嘔気となる。よって胃炎からの嘔気は、粘膜から受容体に向けて放出されるセロトニンをブロックする(5-HT3受容体拮抗薬=ondansertron)ことが有効である。
ケモセラピー後の嘔気
急性期(ケモセラピー後<24時間以内)はケモセラピーで障害された消化管エンテロクロマフィン細胞からのセトロニン放出で生じる。これに対し。セロトニン(5-HT3)拮抗薬が有効であるが、これは、胃の迷走神経性刺激を遮断することと、嘔気中枢での5-HT3受容体を拮抗するためである。
遅発性(ケモセラピー後1−5日後)の嘔気は、化学療法による脳脊髄液、血液の刺激によって脳幹のNeurokinin-1濃度が上昇することで生じる。またNeurokinin 1(NK1)拮抗薬(aprepitant)もサブスタンスPを抑制するため有効である。
乗り物酔には内耳に対しての抗ムスカリン薬か抗ヒスタミン薬が有効となる。
薬剤種類 | 薬剤名 | 適応 |
抗ムスカリン | scopolamine | 乗物酔 妊娠悪阻 |
抗ヒスタミン | diphenhydramine meclizine promethazine | 乗物酔 妊娠悪阻 |
抗ドーパミン | prochlorperazine metoclopramide | 化学療法後の嘔気 (胃腸炎にはFirst Choiceではない) |
抗セロトニン(5HT3) | ondansetron granisetron | 化学療法後の嘔気 胃腸炎 |
抗ニューロキニン1(NK1) | aprepitant fosaprepitant | 化学療法後の嘔気 |
胃の血流
短胃動脈は脾動脈の分枝で、他の動脈とコネクションが乏しいため、脾動脈閉塞で虚血になりやすい。左GEAは脾動脈分枝だが、右GEAとコネクションが良好で脾動脈虚血の影響は受けづらい。
肛門の静脈血流と痔核
外痔核は歯状線以遠であり、下肛門静脈、下殿静脈、内腸骨静脈の順に還流する。体性神経が支配しており、痔核に痛みを伴う。(陰部神経 pudendal nerve)
内痔核は歯状線より近位であり、上肛門静脈、下腸間膜静脈、門脈の順に還流する。体性神経は支配しておらず、痔核に痛みを伴わない。
肛門癌のリンパ
鼠径表在リンパ節に交通しており、転移時は腫大する。
門脈ー体静脈のシャント
食道静脈瘤:左胃静脈ー食道静脈
肛門直腸静脈瘤:上直腸静脈ー中、下直腸静脈
メデューサの頭:臍周囲静脈ー上、下epigatric静脈