薬理

有効性 efficacy

薬剤が起こせうる最大の薬理効果 (Emax)

力価 Potency

最大反応の50%の効果を得るために必要な用量(ED50)によって決定される。ED50が低いほど力価は高い。

薬の副作用の分類

Type A:薬理的に予想されうる副作用。NSAIDs潰瘍等

Type B:

  • 過敏反応:予想より低い用量での副作用
  • 特異的反応 idiosyncratic:予測不能の反応
  • 免疫学的反応:免疫応答に基づく反応。

肝代謝薬剤

肝代謝薬剤は親油性で分布面積が大きいことが多い(親油性のため、肝細胞へ入りやすい)。また、親油性であるため、脳や脂肪組織への分布が多く、腎で尿から再吸収されることが多く、腎排泄は不良となることが多い。

肝臓でのアセチル化の速度

肝臓でのアセチル化の速度の個人差は2分化される。遅いアセチル化の人々はイソニアジドやダプソン、ヒドラジン、プロカインアミドが蓄積しやすいため注意が必要である。

薬剤の分布面積

薬剤分布面積(L)=投与量(mg) / 薬剤血中濃度(mg/L) 

体内の総水分量は41リットルで、そのうち細胞外水分量は三分の一で14リットルである。そのうち血漿量は3リットルで残りが間質液となる。

  • 薬剤の分子量が大きい場合、血漿蛋白に大半が結合する場合(結合しない場合は間質に拡散しやすい)薬剤が荷電している場合(親水性の場合)は、薬剤は血漿に残り、分布面積は少なくなる。(分布面積はおよそ3−5リットル
  • 分子量が小さく、かつ親水性の場合、薬剤は間質および血漿に分布する。(分布面積は14-16リットル)
  • 分子量が小さく、かつ疎水性もしくは親油性の場合、薬剤は細胞膜を超え細胞内に分布する。(分布面積は41リットル)
  • 組織結合が強い薬剤の場合、血中濃度以上に組織に蓄積するため、分布面積は総水分量以上となる。

バイオアベイラビリティー

IV投与時の血中濃度の推移面積と、同量を経口投与した際の血中濃度の推移面積の割り算。

経口投与では腸管からの吸収率と、吸収後の門脈での肝臓代謝(First pass metabolism)によって影響を受ける。

座薬は、肛門の歯状線より皮膚側は静脈還流であり、歯状線より体内側が門脈還流となる。静脈によって吸収された薬剤はそのまま心臓へ体血流として戻るため、バイオアベイラビリティが上昇する。

一次速度式 first-order kinetics

一定の割合proportionの速度で体内から薬剤が減っていく状態を一次速度式といる。その場合、薬剤半減期の4から5倍で、血中濃度は一定となる。

例:半減期10時間ならば、40時間程度で血中濃度は一定(95% Steady-state concentration)になる。

0次速度式 zero-order kinetics

一定の量の速度で体内から薬剤が減っていく状態。

例:常に10mgの薬剤が排出される等。

薬剤の分布

薬剤の投与後の体内での薬剤分布は組織の血流量によって分布に差がでる。

血管が豊富な組織(脳、腎臓、肝、肺、心臓)での薬剤濃度がまずあがりピークを迎える。(血液よりも高い組織の親油性のため)

血流が乏しい末梢組織(筋、骨、脂肪)では、血流豊富な組織からの再分布も生じ、濃度が遅れて徐々に上がっていく。(分布容積は大きい)

 

*プロポフォールの短時間作用は、投与後まず血流の脳に分布して、その後、全身に分布することで、脳内のプロポフォール濃度が下がることによる。

薬剤半減期

半減期は1次速度式の薬剤投与後に、血中濃度が半分となる時間である。

半減期=(0.7 × 分布範囲(L)) / クリアランスレート (L/hr)

例えば、薬剤濃度が75%減るのに要する時間は半減期の2倍となる。

吸入麻酔薬

吸入麻酔薬は一般的に

脳血流を増やす、頭蓋内圧はその結果高まる

呼吸抑制作用。気管支拡張作用がある

腎、肝血流は減る

心拍出量は抑制される

MAC

吸入麻酔薬のPotencyは50%の患者に麻酔効果が得られる、MAC minimal alveolar concentrationによって規定される。MACが低いほどPotencyが高い。

Solubility

投与後の動脈、静脈での薬剤濃度格差はSolubilityを表し、格差が高いほど、末梢組織へのSolubilityが高いと判断される。Solubilityが高いと、血中および脳内で飽和するまでの必要量、時間が多く、効果発現が遅くなる

ハロタン肝炎

ハロタン系吸入麻酔薬(isoflurane, sevoflurane, desflurane等)は小葉中心性肝壊死を伴う、肝炎のリスクがある。劇症肝炎となった場合は死亡率は50%である。

オピオイド

オピオイドの耐性

オピオイドの耐性によって鎮痛効果の減少や副作用の減少が認められる。しかし、縮瞳と便秘には耐性が生じない。そのため対便秘の予防策(水分摂取、食物繊維、下剤)が必要である。

Gastrointestinal side effects in chronic opioid users: results from a population-based survey.

ミュー受容体

オピオイドによるミュー受容体刺激は、以下の2つの作用によってシナプス活動を抑制する。

  • シナプス前細胞にて電圧依存カルシウムチャネルを遮断
  • シナプス後細胞にてカリウムチャネルを開口させ、過分極にする。

 

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