細菌の分類
バイオフィルム
細胞外ポリサッカロイドマトリックスを分泌することによる、抗生剤浸透阻害、免疫細胞の浸透阻害。
産生菌:表皮ブドウ球菌、Strept mutans, Strept sanguinis(歯科感染)、緑膿菌、Viridans sterptococci、nontyplable H influenze。
エキソトキシン
産生菌 | 毒素 | 作用 |
ジフテリア | ジフテリア毒素 | EF-2を不活性化し、ホスト細胞のタンパク合成阻害 |
緑膿菌 | Exotoxin A | EF-2を不活性化し、ホスト細胞のタンパク合成阻害 |
黄色ブドウ球菌 | エンテロトキシン | 消化管で作用するスーパーアンチゲン |
TSSトキシン | 全身性にサイトカイン誘発するスーパーアンチゲン | |
炭疽菌 Bacillus anthracis | Anthrax exotoxin | 浮腫因子:cAMP上昇による浮腫と貪食不全 |
致死因子:亜鉛依存プロテアーゼによるアポトーシスと多臓器障害 | ||
百日咳 Bordetella pertussis | Pertussis toxin | G1ADP ribosylationを介した、cAMP上昇による浮腫と貪食不全 |
Adenylate cyclase toxin | adenylate cyclaseとして働き、cAMP上昇による浮腫と貪食不全 | |
コレラ菌 | コレラ毒素 |
adenylate cyclaseを活性化し、GsADP ribosylationを介し、cAMP上昇による分泌性下痢 |
ボツリヌス菌 C. botulinum | ボツリヌス毒素 | シナプス前のアセチルコリン分泌の抑制 |
Clostridium difficile | Toxin A (enterotoxin) | 好中球の活性化、腸粘膜炎症、下痢 *A,B共に作用は重複している |
Toxin B (cytotoxin) | アクチンのdepolymerization(細胞骨格変性)による粘膜細胞死、腸管壁壊死、偽膜形成 | |
志賀赤痢菌 Shigella dysenteriae | 志賀毒素 | 60sリボソームサブユニットを無効にして蛋白合成を中止し、小腸粘膜細胞死、下痢となる。 |
EHEC (O157:H7)、腸管出血性大腸菌 | Shiga-like toxin (Vero毒素) | 60sリボソームサブユニットを無効にして蛋白合成を中止し、小腸粘膜細胞死、下痢となる。 |
Streptococcus pyogenes | Pyrogenic exotoxin | スーパーアンチゲン。猩紅熱、トキシックショックシンドローム |
Streptolysion O&S | RBC細胞膜障害による β溶血 |
スーパーアンチゲン
20%以上のT細胞を非特異的に活性化させ(スーパーアンチゲンが仲介として抗原提示細胞MHCIIとT細胞レセプターが結合)、莫大な量のサイトカイン(IL-1, IL-2, TNF-α, TNF-β, INF-γ等)を放出させる。
IgAプロテアーゼ
N gonorrhoeae, N menigitidis, Streptcoccus Pneumoniae, Haemophilus influenzaeはIgAプロテアーゼを産生し、IgAのヒンジ部を分離し破壊する。これにより菌の粘膜への付着が促進される。
プロテインA
黄色ブドウ球菌はIgG抗体の補体結合部であるcポーションに結合するプロテインAを細胞膜に発現する。IgGはこれにより補体の活性化が阻害され、黄色ブドウ球菌のオプソニン化が妨げられる。
類似毒素
ジフテリア毒素と緑膿菌Exotoxin Aは作用が類似。リボソームに働き、Elongation Factor-2を不活化。
大腸菌の病原性
- リポポリサッカロイド:マクロファージを活性化。ショックを呈する
- K1 capsular polysaccharide:貪食を防ぐ。新生児髄膜炎
- ベロトキシン:60Sリボソームのタンパク合成阻害。出血性胃腸炎
- Heat-stable/Heat-labileエンテロトキシン:腸上皮からの水、電解質分泌増加。水性胃腸炎
- P fimbriae:尿上皮に接着。UTIに。
Origins and virulence mechanisms of uropathogenic Escherichia coli.
ポリサッカロイド莢膜
肺炎球菌やインフルエンザ桿菌のポリサッカロイド莢膜は貪食や補体結合を防ぐ役割がある。
肺炎球菌
カタラーゼ陰性、胆汁可溶性あり、オプトシン感受性あり
インフルエンザ桿菌
グラム陰性球桿菌。ポリサッカロイドのカプセルはリン酸ポリリボシルリビトールのポリマー(PRP)であり、これが貪食、補体結合から守っている。
クレブシエラ
グラム陰性桿菌。ラクトース発酵(MacConkey培地で成長)、厚い莢膜有する。アルコール中毒患者に感染が多い。
緑膿菌
オキシダーゼ陽性のGNRで培養で緑色色素を産生する。運動性あり、好気性、非ラクトース発酵、オキシダーゼ陽性。
緑膿菌による壊死性の皮膚感染症=壊疽性膿瘡 Ecthyma gangrenosum。
ホットタブ毛のう炎、スイマーズイアー等はプールの温水の消毒不良によってアウトブレイクする緑膿菌の皮膚感染。
マイコプラズマ
細胞膜を持たないため、細菌のグリコシルトランスフェラーゼを阻害する(ペプチドグリカンの細胞膜形成阻害)薬=ペニシリン等は効果がない。
Nf-kB、IkB
NF-kBは感染に対する免疫応答に関連しているが、非感染時は抑制蛋白IkBと結合し、休眠している。リポポリサッカライド等の細菌性の蛋白によってIkBは破壊され、NF-kBは活性化する。