造影剤による尿細管毒性と腎虚血が複合的に関与。
通常は造影剤使用後すぐに発症し3日目にピーク、10日までに改善する可逆的な障害。
24-48時間後にCr上昇あれば要注意
リスク
75歳以上、DM、脱水、心不全、肝硬変、ネフローゼ、高血圧、腎毒性薬剤の使用、蛋白尿、既存の腎機能障害を有するハイリスクでは頻度上昇、不可逆的な腎障害になることも。
また、72時間以内の造影剤再使用、造影剤の大量使用、高浸透圧性造影剤、動脈内注射、IABPはリスクに。
検査前にCCr50以下はハイリスク。
PCI後の腎機能悪化のリスク
リスク | スコア |
sBP<80で術後24時間以内に強心薬、IABP必要 | 5 |
IABPの使用 | 5 |
NYHA3,4もしくは肺水腫の既往 | 5 |
Age>75 | 4 |
Hct 男39%未満、女36%未満 | 3 |
DM | 3 |
造影剤使用量 | 100mlにつき1 |
S―Cre>1.5GFR | 440-60:220-39:420未満:6 |
総リスクスコア | S-Creが>0.5mg/dlまたは>25%となるリスク | 透析のリスク % |
5以下 | 7.5% | 0.04 |
6-10 | 14% | 0.12 |
11-15 | 26.1% | 1.09 |
16以上 | 57.3% | 12.6 |
J Am Coll Cardiol 2004;44:1393-9
予防
心機能低下等があれば以下の輸液負荷は減量せざるを得ない
①生理食塩水投与 1ml/kg/hrで造影剤投与2~12時間前より開始。24時間続ける。
②造影剤種類 第1世代 1400mosm 高張性
第2世代 600mosm 低張性
第3世代 2-300mosm 等張性
第2,3世代ならリスク低い
③造影剤量 イオパミロン 1-2ml/kg max5ml/kg
(最大使用量 5ml×BW/Cr)
④NaHCO3の投与 造影前に3ml/kg/hrで。造影後は1ml/kg/hrで6時間
⑤Nアセチルシステイン 造影前より600mgを12時間毎に。計4回。
用量依存性に予防する 1200mgはさらにベター
予防的な透析は効果が実証されていない。
ただし、ICU患者に対して造影前より持続的血液ろ過CHFの効果はあるかもしれない。
透析導入中の患者は無尿であろうと造影後の緊急透析は必要ない。
ただしなるべくならば、予定透析日の午前中が望ましい。
CAPD患者はCAPDでなかなか抜けない→透析もありか
ガドリニウム 末期腎不全では皮膚硬化がでうる
→造影後に透析を行った方がよい。