ビタミン欠乏性の疾患
ビタミン欠乏一覧
ビタミン名 | 機能 | 欠損症 |
ビタミンB1 (チアミン) |
αケト酸のDecarboxylation (炭水化物代謝) |
ベリベリ病(末梢神経障害、心不全) ウェルニッケーコルサコフ症候群 |
ビタミンB2 (リボフラビン)
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ミトコンドリアのElectronキャリア (FMN、FAD) |
口角症、口内炎、舌炎 正球性貧血 |
ビタミンB3 (ナイアシン) |
Electron輸送反応 (NAD/NDAP) |
ペラグラ(皮膚炎、痴呆、下痢) 末梢神経障害 |
ビタミンB6 (ピリドキシン) |
アミノ酸転基(特にαケト酸とアミノ酸間で) (アミノ酸合成) |
口角症、舌炎、口内炎 |
ビタミンB9 (葉酸) |
Hydroxymehyl、Formylキャリア (プリン、チアミン合成) |
巨赤芽球性貧血 神経堤細胞欠損 |
ビタミンB12 (コバラミン) |
イソメラーゼ、メチルトランスフェラーゼのCofactor (DNA、メチオニン合成) |
巨赤芽球性貧血 神経障害 |
ビタミンC (アスコルビン酸) |
プロリン、リシンの水酸化 (コラーゲン合成) |
壊血病 |
ビタミンB1(Thiamine)欠乏
ウェルニッケ脳症(alcohol, malnutrition, pregnancy),眼球運動障害 (horizontal nystagmus), 姿勢、歩行時の失調
ビタミンB2 (Riboflavin) 欠乏
酵素FADの前駆体であり、FADはCoenzymeとして、クエン酸回路内でSuccinate Dehydrogenaseと共に働く。angular cheilosis口角炎,normocytic anemia, seborrheic dermatitis脂漏性皮膚炎, common in malnutrition of developing countries
ビタミンB3 (ナイアシン) 欠乏
ペラグラ、下痢、認知機能低下、皮膚炎。 解糖系回路のNAD欠乏となる(ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ、αケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ、マレイン酸デヒドロゲナーゼといったデヒドロゲナーゼの活性が低下する。)。ナイアシンの経口摂取の他、トリプトファンからも体内で形成される。Death due to malabsorption. niacin is lack in corn products *high dose niacin cause cutaneous flushing due to prostaglandin vasodilation
Vit B6 (Pyridoxine) 欠乏
increase homocysteine
ビタミンB7(ビオチン)
補酵素としてピルビン酸カルボキシラーゼ(糖新生)、アセチルCoAカルボキシラーゼ(脂肪酸合成)、プロピオニルCoAカルボキシラーゼ(脂肪酸酸化)に働く。
欠乏はまれ。栄養不良、ビオチン結合するアビディンを含む卵白過剰摂取等が原因。代謝性アシドーシスや皮膚炎、神経症状を呈する。
ビタミンB12 (Cobalamin) 欠乏
回腸での吸収に、胃からの内因子が必須であり、胃切除、自己免疫疾患で不足する。プリン、ピリミジン塩基の合成障害、チミジン合成障害で、delayed DNA maturationのため無効造血となる。巨大赤血球、hyper-segmented polymorphonuclearな白血球。thrombocytopenia。megaloblastic anemiaと神経症状(末梢神経、後索と側索の脊髄、小脳、記憶障害、認知症)。methylmalonic acid とホモシステインが上昇。 methionine低下。
ビタミンB12補充により、有効造血が行われるようになり、網状赤血球が一時的に増加する。
ビタミンB12欠乏の貧血は葉酸でもある程度改善があり、逆に葉酸欠乏の貧血はビタミンB12の補充でもある程度改善が得られる。しかし、ビタミンB12の神経症状は葉酸補充により悪化するため(脱髄の増悪、非メチル化コバラミンの蓄積による)、注意が必要である。
葉酸 Folic acid欠乏
アルコール摂取、低栄養が原因。megaloblastic /macrocytic anemia (mean corpuscular volume >100)。低い網状赤血球数。チミジン合成障害。VitB12欠乏と異なり、神経症状を伴わない。ホモシステインのみが上昇。methionine低下。栄養欠乏により、葉酸は数週単位、ビタミンB12は年単位で欠乏する。RBCのTurnoverの亢進でも消耗性欠乏となる。チミジン補充で、葉酸欠乏はバイパスできる。
原因薬剤(phenytoin, primidone, phenobarbital, trimethoprim, methotrexate)
ビタミンC 欠乏
ビタミンCはコラーゲン合成の際に、粗面小胞体でのプロリンとリシンの水酸化に必須であり、欠乏によってコラーゲンの架橋が障害され、壊血病となる。アルコール中毒患者で多い。盛り上がった歯肉。点状出血
過剰摂取は嘔気、腹痛、下痢となる。また、Caオキサレート結石による尿路結石を誘発する。
ビタミンA欠乏
脂溶性。夜盲症、ドライアイ、角膜軟化症。ケラチン細胞の分化も障害される。
ビタミンD欠乏
脂溶性。骨軟化症。母乳栄養児、少ない日光暴露、有色人種がリスク。
7-デヒドロコレステロールから日光のUVによりコレカルシフェロール(ビタミンD3)が生成される。D3は食事からも摂取される。D3はその後肝臓でヒドロキシ化され、25-ヒドロキシビタミンDとなる。25-ヒドロキシビタミンDは腎臓で1,25-ジヒドロキシビタミンD(Calcitriol)として活性化されて、骨(ミネラル化)、小腸(Ca, Pの吸収)、腎臓(Ca, Pの尿からの再吸収)、副甲状腺(PTH分泌低下)で機能する。
くる病ではミネラル化の不十分な結合織の増殖となる。
ビタミンE欠乏
脂溶性。細胞膜の脂質を酸化から守る作用。長い軸索の神経細胞(表面積が大きい)や赤血球(酸素に暴露される)がビタミンE欠乏症状が出やすい。そのため、神経筋症状(骨格筋障害、失調、多発神経炎)や溶血性貧血となりうる。
ビタミンK欠乏
脂溶性。
微量元素の欠乏性疾患
鉄
4ヶ月以降かつ離乳食前の母乳栄養児で欠乏する。また、鉄の吸収は十二指腸、近位空腸であることと、鉄の吸収には胃酸が必要であることから、胃十二指腸切除後には鉄欠乏が必発であり、鉄補充が必要となる。欠乏により食道web形成と貧血のPlummer-Vinson Syndromeとなる。スプーン型の爪。舌乳頭萎縮による赤い舌。
鉄の代謝は肝臓から産生されるHepcidinによって調整されている。腸細胞の鉄の吸収、鉄の便中排泄を調整。血中鉄濃度上昇、炎症でHepcidinは上昇、低酸素や造血亢進はHepcidinが上昇する。
鉛
米国では鉛を含む塗料摂取による小児発症が多い。腹痛、便秘、倦怠感。スメアは低色素性のRBCに好塩基性の顆粒を伴う。
栄養
カロリー計算
- 炭水化物は1g=4cal
- タンパク質は1g=4cal
- 脂肪は1g=9cal