円柱所見のまとめ
- muddy brown(Granular)(=変性した近位尿細管細胞)=acute tubular necrosis,
- RBC=glomerulonephritis,
- WBC=interstitial nephritis, pyelonephritis(他のUTIと鑑別できる),
- Fatty=nephrotic syndrome
- Broad and waxy=(変性した硝子円柱)=chronic renal failure,
- envelop-shaped calcium oxalate crystal=ethylene glycol
- Hyaline=(Tamm-Horsfall protein)=非特異的、濃縮尿(腎前性腎障害)
- eosinophilic glassy large cast=multiple myeloma
- 円柱所見がない褐色尿は糸球体の原因ではない。
Nephritic | Nephrotic | |
オンセット | 急激 | 緩徐 |
GFR | 下がる | 変化なし、下がる |
血清アルブミン | 正常 | 低い |
浮腫 | 乏しい | 強い |
高血圧 | 強い | 乏しい |
Cast | RBC cast | Fatty もしくはなし |
蛋白尿 | 乏しい | あり |
血尿 | あり | 乏しい |
白血球尿 | あり | なし |
起立性蛋白尿
起立時=日中の蛋白尿。思春期の蛋白尿の原因として最多。30歳以降ではまれ。起立時のアンギオテンシンIIの過剰な応答による糸球体毛細血管圧の過剰な上昇が原因とされている。24時間蓄尿を活動中と就寝中(朝の排尿まで)で分けて検査することで確定診断される。予後は良好(自然に改善し、腎障害を呈さない)であり、治療は必要ない。
nephrotic synd
proteinuria, hyperlipidemia(低浸透圧による肝臓刺激), hypercoaglopthy, hypoalbuminemia), no hematuria ATIIIの喪失による血栓症
微小変化型 minimal change
上気道炎やワクチン摂取、アトピー、虫刺され、NSAIDs、ホジキンリンパ腫等により、全身性T細胞の機能不全により糸球体基底膜の通過性因子を産生。結果、基底膜の有足細胞の足突起の消失や癒合が生じ、基底膜の陰性荷電が減少する。基底膜は通過物質をサイズと電荷の2つのバリアーで選択しているが、陰性電荷のアルブミンはサイズが十分に小さく、膜の陰性電荷が減ることで、尿中へ放出されるようになる。
10才以下の小児に多い。ステロイド治療前に生検は必要ない。 腎生検で光学的に異常認めず、電子顕微鏡で足突起の消失effacement of foot processes
Focal segmental glomerulosclerosis
(HIV nephropathy)、アメリカで頻度高い。common in African, Hispanic, obesity, HIVやヘロイン使用に合併。腎生検:局所的な糸球体硬化
膜性腎症 membranous glomerulopathy
抗ホスホリパーゼA2抗体が陽性であり、抗体値が病勢、治療経過を反映する。多くは特発性だが、慢性感染症(ウイルス性肝炎、梅毒)、固形がん、SLEに合併しうる。成人で多い。renal vein thrombosis(sudden hematuria)by over excretion of ATIII in urine。 原因: 特発性もしくは肺や大腸のadenocarcinoma(solid cancer), NSAIDS, hep B, SLE。光学所見:均一な糸球体血管の肥厚。細胞増殖は伴わない。免疫染色:GBMに沿ったIgGとC3の顆粒状沈着。電顕:GBMと上皮の間の不規則な沈着による、GBMの突出(Spike and Dome)
M-type phospholipase A2 receptor as target antigen in idiopathic membranous nephropathy.
アミロイドーシス Amyloidosis
AA secondary to chronic inflammatory=RA,TB, osteomyelitis, amyloid depositin glomerular basement membrane with Congo red stain. Sx=proteinuria, hepatomegaly, cardiomyopathy(restrictive), peripheral/autonomic neuropathy, waxy skin/easy bruising
糖尿病性腎症 DM nephropathy
glomerulosclerosis, glomerular basement membrane changes, hyaline atheroscrelosis (均質な好塩基性のヒアリン物質の、血管内皮と中膜への蓄積、PAS染色でピンクに)。尿中アルブミンが30−300mg/dayの潜在性糖尿病性腎症時にACEインヒビター投与することで、腎機能障害の発症を遅らすことが期待される。
Nodular Glomerulosclerosis
Kimmelstiel-Wilson nodule (KW結節): 末梢のメサンギウムでの卵形、球形の好塩基性、PAS陽性病変。進行性の蛋白尿、腎不全への進行。1型もしくは2型糖尿病に合併。
nephrotic and nephritis
膜性増殖性糸球体腎炎 Membranoproliferative glomerulonephritis (MPGN)
caused by hepatitis B or C,lipodystrophy dysmorphic red cells, red cell casts, protein, persistent activation of alternative complement pathway,dense intramembranous depositstaining C3 光学:GBMのSplitting
Nephritic synd
glomerular damage (hematuria, HTN, proteinuria, casts, oligouria)
RPGN, Crescentic glomerulonephritis
重度の免疫細胞による障害(抗GBM抗体、免疫複合体)光学:糸球体半月(糸球体毛細血管障害への反応性の、ボーマン嚢での2層以上の細胞増殖)、蛍光:半月にフィブリン
抗GBM RPGN | 免疫複合体RPGN | Pauci-immune RPGN |
Goodpasture synd | 溶連菌感染後糸球体腎炎 SLE, IE IgA腎症 Henoch-Schonlein紫斑病 |
ANCA関連腎炎 |
IgGやC3が沈着 | 補体C3,C4は低下する | グロブリン、補体は認めない |
グッドパスチャー症候群 Goodpasture syndrome
抗glomerular basal membrane抗体(IV型コラーゲンのα3chain)による糸球体と肺胞の障害。光学:糸球体半月形成、蛍光:GBMに沿ったIgGとC3の線状沈着。(GBMのびまん性炎症を反映)
RPGNと肺胞出血。肺胞出血は肺胞での酸素吸収を高めるため、DLCOが高い。
溶連菌感染後糸球体腎炎 post-streptococcal glomerulonephritis PSGN
連鎖球菌への抗体(IgGやIgMと補体の複合体)のGBMへの沈着。蛍光:C3がGBMにそってまだらに染色される(沈着部位のみ)。電顕:不連続なSubepithelial hump。
ほとんどの小児は回復するが、成人発症例は高血圧が残ったり、RPGNとなり、腎不全なったりと予後が小児より悪い(40%の成人例は慢性腎不全に移行)。高血圧、浮腫、蛋白尿、咽頭痛。咽頭、皮膚感染の10-21日後に発症, IgGやIgMは補体結合するため、low C3(due to immune complex),anti-streptolysin O やanti-DNAse B陽性。クリオグロブリンも陽性のことあり。
治療は支持療法。体液過剰があれば利尿剤。基本的には自然軽快し、免疫抑制剤は不要。
IgA腎症
IgAを含む複合体の沈着による炎症。光学:mesangial hypercellularity、蛍光:メサンギウムへのIgA沈着
特発性もしくは上気道炎後5日以内に発症する再発性の血尿、蛋白尿、側腹部痛。 IgAは補体との結合性がIgGやIgM比べ弱いため、C3を含む補体価は正常。
Henoch-Schonlein purpura
IgA腎症に腎外の小血管炎症状(腹痛、紫斑、関節痛)を合併したもの。2ー10才の男児に多い。上気道炎が先行しうる。IgAとともにC3も沈着する。IgAによる白血球破砕性血管炎lekocytoclastic vasculitis. 凝固正常、血小板数正常
- 腸浮腫による腸重積、血管炎による下血、腹痛
- 下肢のpalpable purpura
- 移動性のarthritis, arthralgia
- IgA nephritis(Berger disease)(hematuria, proteinuria), メサンギウム細胞の増殖と半月形成。mesangial deposition of IgA
- 治療は支持的療法(補液、NSAIDs)重度の場合はステロイドを投与する。
ANCA関連腎炎
免疫グロブリン、補体の沈着を認めず。肉芽腫性多発血管炎や顕微鏡的多発血管炎に合併。
Wegener肉芽腫は細胞質染色の抗好中球細胞質抗体(C-ANCA)によるもので、上気道の潰瘍形成と血管炎を特徴とする。
ループス腎炎
SLEに腎機能障害を見た場合は、病型による治療、予後が異なるため、まず腎生検を行う。補体価と抗dsDNA抗体価が病勢の評価としてモニターされる。治療は免疫抑制剤、ステロイドが必要となりうる。
Alport syndrome
X染色体性遺伝。GBMのIV型コラーゲンの欠陥。電顕:thinned and thickened capillary loops with splitting of GBM
familial, recurrent gross hematuria and proteinuria, sensational hearing loss.
免疫染色まとめ
- linear deposit=goodpasture
- granular deposit=lupus, IgA nepritis, postinfectious glomerulonephritis
間質性腎炎 allergic/acute interstitial nephritis
原因は薬剤(beta lactams, sulgonamide, rifampin, PPI, NSAIDS, 利尿薬)、自己免疫、マイコプラズマ、レジオネラ感染によるI型もしくはIV型のアレルギー応答。典型的には投与7-10日後。
皮疹(maculopapular rash), eosinophilia, eosinophiluria, pyuria, fever
鎮痛薬誘発腎症
NSAIDsによる血管拡張性のプロスタグランジンの抑制によって、腎血流低下および糸球体濾過量の低下が原因。ネフローゼレベルの蛋白尿が生じうる。
Chronic interstitial nephritis
NSAIDsの長期使用で。NSAIDSは腎髄質で濃縮され、乳頭で濃度が高くなり、細胞障害を起こす。パッチーな間質の炎症、萎縮。炎症後の石灰化も呈しうる、。
急性尿細管壊死 Acute tubular necrosis (ATN)
ショック、腎毒性薬(アミノグリコシド、造影剤)、ヘム色素(ex:横紋筋融解症。直接的細胞障害と血管収縮作用)が原因。虚血に弱い、腎髄質、代謝が盛んな部位(特に近位尿細管の最終端とヘンレ上行脚)の障害。muddy brown granular cast。
BUN/Cre比は増加なし。病理:円柱が管腔を閉塞、基底膜の破れ。尿細管上皮細胞の壊死(focal)。
- 近位尿細管障害による電解質再吸収障害。FeNaは>2%、低Mg血症、低P血症。重度の場合Fanconi症候群に(アミノ酸尿、グルコース尿、尿酸尿、リン酸尿)
- 遠位尿細管障害による尿濃縮障害。多尿、尿浸透圧<300mOsm/kg。
*参考:腎前性腎障害はFeNa<1%、尿浸透圧>500mOsm/kg、Hyaline cast。
ATN回復期(尿細管の再上皮化)は低張尿の利尿期となる。糸球体ろ過の回復が先行するが、尿細管機能は障害されているため、電解質喪失が起こる。(低K、Mg、P、Ca血症のリスク)
腎乳頭壊死 papillary necrosis
massive hematuriaが症状。sickle cell diseaseもしくはtraitでも発症。または、NSAIDs、DM、腎盂腎炎、尿路閉塞等でも血流不全となり、壊死が生じうる。
tubulointerstitial nephritis
sterile pyuria, eosinouria, caused by analgesia, antibiotics, possible hematuria
Crystal-induced kidney injury
結晶による尿細管の閉塞±直接的な尿細管障害(近位尿細管の腫脹、空胞化)。アシクロビル、ST製剤、メソトレキセート、エチレングリコールの投与後1−3日後。 AKI<7days
エチレングリコールの場合はシュウ酸結石が生じる。
多嚢胞性腎症 Autosomal dominant Polycystic kidney
常染色体優性遺伝。PKD1もしくはPKD2の異常。肉眼的血尿、触知できる腫瘤、側腹部痛、尿路感染、夜間尿。脳動脈瘤のリスク。50%が70才までに腎不全になる。腎エコーにて診断。厳格な血圧管理。ACE阻害薬を用いる。スタチンも心血管障害予防のために。
常染色体劣性遺伝のPKD(ARPKD)は生後から嚢胞があり、10才までに腎不全のため、生命の危険となる。また胎児時の羊水減少、ポッター症候群になりうる。
Fibromuscular disease (FMD)
55才以下の女性に多い。動脈のFibromuscular websと瘤拡大、内弾性板の欠如が特徴所見。腎動脈狭窄、脳血管病変を合併。
腎動脈狭窄
ACE阻害薬、ARB投与後のCre上昇は腎動脈狭窄を示唆する。
慢性腎不全
糸球体ろ過率が減るために、血清リンの蓄積が生じ、血中Caが低下する。低Ca血症がリンの再吸収を妨げるFibroblast growth factor-23を放出をうながす。また、リン高値とFGF-23がカルシトリオール(1,25-デヒドロキシビタミンD)の生成を減少させ、腸管でのCaとリンの吸収を低下させる。
また、低Ca、高リン血症はPTHの分泌を促し、骨の分解を促進する。
尿毒症性凝固障害:血小板の機能障害, PT, APTT, Plt count=normal, Tx=DDAVP, PC become inactive soon
透析患者の最多死因は心血管死 (50%)
Asterixis振戦;hepatic failure, uremic encephalopathy, CO2 retention
hepatorenal syndrome; causes splanchnic内臓 vasodilation, induced by SBP or GI bleeding
腎不全患者の貧血
初期検査としてビタミンB12、葉酸、便潜血検査。また鉄パネル検査。フェリチン値は慢性炎症により偽性高値となるため、注意。鉄は腸管吸収分よりも多い量が必要になりうる。正色素性貧血は通常、エリスロポエチンの低産生による貧血。
ELECTROLYTE&METABOLISM
糸球体濾過量率 Filtration fraction (FF)
- 糸球体濾過量 (GFR)は糸球体細血管からボーマン嚢へろ過される量。糸球体で制限なくろ過され、尿細管での再吸収や分泌が無い、イヌリンもしくはクレアチニン(Cre)のクレアレンスを用いて産出される。
GFR=クレアチニンクリアランス=尿中Cre濃度*時間あたりの尿量/血中Cre濃度
- 腎血漿流量RPFは、腎臓に入ったすべてが尿中に排出される(ほとんどが尿細管からのキャリア輸送分泌)、パラアミノ馬尿酸(PAH)のクレアランスを用いて算出される。
RPF=PAHクリアランス=(尿中PAH濃度*時間あたりの尿量)/血中PAH濃度
- 腎血流量RBFは腎血漿流量にヘマトクリットを足した流量になる。Hct50%ならばRBF=RPF*2。
FF=GFR/腎血漿流量(RPF)
糸球体ろ過圧 Filtration pressure
FP=糸球体毛細血管静水圧ーボーマン嚢静水圧ー(糸球体毛細血管膠質浸透圧ーボーマン嚢膠質浸透圧)
GFRは糸球体ろ過圧に比例し、FPが上がれば、GFRは上昇する。
afferent 輸入細動脈の収縮は糸球体毛細血管静水圧の低下(GFR低下)となる。同時にRBFも低下し、FFは変わらない。
輸出細動脈の収縮は糸球体毛細血管静水圧の上昇(GFR上昇)となり、またRBFは低下するため、FFは上昇する。
efferent arteriolar 輸出細動脈の拡張は糸球体毛細血管静水圧の低下(GFR低下)となる。RBFは上昇する。(Ace Inhibitorはこのように作用する。)
Kの尿中排泄について
Kは糸球体で自由にろ過されるため、ボーマン嚢のK濃度は糸球体毛細血管のK濃度と同じになる(この濃度を100%とする)。その後近位尿細管、ヘンレ係蹄でそれぞれ65%、25−30%が機械的に再吸収される(ヘンレの上行脚末端ではKは5−10%程度)。したがって遠位尿細管、皮質集合管がKの調節場所となる。
低K血症時は、同部のα介在細胞はKを再吸収し、尿中K濃度は1%までさがる。
高K血症時は、主細胞からのKの尿中分泌(Na/Kポンプ)により、110%程度まで尿中K濃度は上昇しうる。
K分泌が増える場合は、血中K高値(Na/Kポンプによる)、アルドステロン高値(Na/Kポンプによる)、アルカローシス(細胞内Kの上昇による分泌亢進)、尿量の増加(分泌されたKがすぐにwashoutされるため)
ネフロン構造
- 糸球体:180リットル/日の等張水をろ過。イヌリン、クレアチニン、グルコースは糸球体を自由に通過。
- 近位尿細管:電解質、アミノ酸、グルコース、重炭酸を再吸収(アセタゾラミドはNaClとNaHCO3の再吸収を阻害)。水はNa、Kに合わせて受動的に吸収される。(水の再吸収が最多:吸収される水の60%以上を占める)
- ループ下行脚:自由水の再吸収。多くのイオンは尿中に保たれる。以降のADHの作用がない場合は、ループ折返し部で浸透圧は最も高まる。
- ループ上行脚:水は透過性なし。thin regionでのNaClの受動的再吸収、thick portionでのNa/K/2Cl共輸送による積極輸送(ループ利尿薬はこの共輸送を阻害する。またループ利尿薬はプロスタグランジンを介して腎血流を増やす<NSAIDSはこれに拮抗)ループ末端がもっとも尿浸透圧が低い。
- 遠位尿細管:介在細胞によるH+の分泌での尿pHの調整。ADH反応性の水再吸収、NaCl共輸送による再吸収(サイアザイドはこれを阻害)。尿は最も酸性になる。
- 集合管:ADH依存性の水再吸収、NaCl再吸収。尿は最も酸性になる。(アミロライドやスピロノラクトンの作用部)
腎臓からの酸の排出
全身性のアシドーシス時、以下メカニズムで尿への酸排出、全身のアルカリ化を行う。
- 近位尿細管を中心としたHCO3の再吸収
- 近位ネフロンおよび遠位尿細管でのHイオンの分泌
- バッファーのHPO4、NH3の尿中排泄:NH3はグルタミンから分解され、同時にHCO3が生産される。(アンモニウムイオンとして不要な酸の半数が排出される。排出される酸が増えた時は尿中アンモニウムイオンの増大でカバーされる。)
- バッファーによる尿中Hイオンとの結合:HイオンをH2PO4やNH4とすることで、さらなるHイオンの尿中排泄を促す。
RAAS
輸入細動脈に存在する、平滑筋細胞である傍糸球体(JG)細胞は腎血流をモニターし、腎動脈狭窄等での腎血流低下は、JG細胞からの慢性的なレニン分泌を促す。その結果、JG細胞=modified smooth muscle cellsは過形成となる。またJG細胞へのβ1刺激でもレニン分泌は亢進する。
レニンによりアンギオテンシンIが促進され、ACEにより主に肺小血管内でアンギオテンシンIIに変換される(アンギオテンシンII濃度は肺静脈の方が肺動脈よりも高い)。アンギオテンシンIIはアルドステロンと血管収縮作用のあるエンドセリン分泌を刺激する。アンギオテンシンIIにより輸出細動脈は収縮し、GFRを保つ効果、末梢血管収縮による血圧上昇となる。またACEは咳嗽に関連するブラジキニンの分解を行う。
ACE阻害剤により体血圧低下による腎血流低下、輸出細動脈拡張による糸球体還流圧低下、GFR低下、Filtration Fractionの低下となる。
高山病
低酸素のため、頻呼吸となり、アルカリ血症となるため、頭痛、疲労、嘔気、不眠の症状がでる。
代謝性アシドーシス
- アニオンギャップ開大性代謝性アルカローシス: phosphate, sulfate, 糖尿病性ケトアシドーシス(通常血糖は250以上)、アルコール性ケトアシドーシス(血糖値は低値から高値まで), 乳酸アシドーシス, uremic, アスピリン中毒, methanol, Ethylen gycol
- アニオンギャップ=Na-Cl-HCO2 (通常 10-14)
pH<7.1; bicarbonate treatment
呼吸性代償; Winter’s formula (CO2=HCO3*1.5+8)
代謝性アルカローシス
嘔吐、下痢:Hイオン、Clイオンの喪失。尿中Cl濃度は低下。等張性生理食塩水に反応良好でアルカローシス改善。
サイアザイド、ループ利尿薬多用:2次性にアルドステロンが亢進し、尿中K排泄、H排泄が亢進する。利尿薬使用中は尿中Cl濃度上昇し、使用中止後は低下。等張性生理食塩水に反応良好。
ミネラルコルチコイド過剰:原発性アルドステロン症やクッシング症候群などで。血管容量増大による圧利尿が亢進しているため、尿中Cl上昇。等張性生理食塩水投与でもアルドステロン分泌は亢進しているため、アルカローシスは改善しない。
低K血症、低カリウム血症
vomiting, diuretic abuse, batter synd, Gitelman synd
低Na血症、低ナトリウム血症
以下のフローによって診断する。
1:血清浸透圧290mOsm/kg以上 >高血糖、腎不全
2:尿浸透圧100mOsm/kg以下 >多飲症、栄養不良(ビールドリンカー多飲症)
3:尿中Na25mEr/L以下 >SIADH、副腎不全、甲状腺機能低下症
3:尿中Na25mEr/L以上 >脱水、心不全、肝硬変
低カルシウム血症
血中の45%はアルブミンと結合しているため、イオン化カルシウム濃度が正常であっても、低アルブミン血症時は血清カルシウム値が低値となる事がある。補正カルシウム値=血清カルシウム値+0.8(4ーアルブミン値)が正常であれば、治療は不要である。
家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症 FHH
常染色体優性遺伝。カルシウム検知レセプターの異常により過剰なカルシウム吸収が起こる。カルシウム値12mg/dl以下であれば通常無症状であり、治療は不要。
利尿薬副作用
利尿薬 | 副作用 |
アセタゾラミド(炭酸脱水酵素阻害) | 代謝性アシドーシス、アルカリ尿 |
浸透圧利尿薬 | 高Na、肺水腫 |
ループ | 低K、低Mg、低Ca。感音性難聴 |
サイアザイド | 低K、低Na(より出やすい)、高尿酸、高Ca。高脂血症、耐糖能異常 |
トリアムテレン | 高K |
スピロノラクトン | 高K、女性化乳房 |
サイアザイド: 膵からのインスリン分泌が減ること、末梢組織での糖代謝が低下する事でDMを誘発しうる。特にchlorthalidone。
尿細管アシドーシス Renal tubular acidosis
cause growth failure in infants, normal anion gap acidosis, CaP stone
type 1=poor H2 secretion into urine, alkalotic urea
type 2=poor Bicarbonate reabsorption, fanconi synd (glucosuria, phosphaturia, aminoaciduria)
type 4=aldsterone resistance, DM, obstructive uropathy, congenital adrenal hyperlasia
familial hypocalciuric hypercalcemia
urine calcium Cre clearance ratio= <0.01, PTH high normal in hypercalciumia
尿崩症 Diabetes insipidus
- central (ADH↓)=trauma, hemorrhage, infection, tumors
- nephrogenic (ADH resistance)=hyperCa, HypoK, tubulointestitial renal disease, drugs (lithium, amphotericin)
ADHはV2レセプターを介して、皮質と髄質の集合管の水透過性を高める。また、髄質の集合管の尿素トランスポーターを亢進させ、尿素の再吸収を高める(尿素のクレアランスを下げる)。これにより髄質の膠質浸透圧が高まり、ループでの水吸収を高める。この結果、血中尿素濃度は高まり、BUNは上昇する。
外傷性の尿崩症は視床下部神経核の障害時に永続的な尿崩症として発症。ADHを貯蔵、分泌する下垂体後葉の損傷時は、ADHを産生する視床下部が代償するため、一時的な尿崩症となる。
腎結石 Renal stone
診断のゴールドスタンダードはエコーか非造影CT。
- カルシウム オキサレート/リン酸結石Calcium oxalate; 最多の頻度。fat malabsorption diseaseincreases the absorption of oxalatein gut。8面体で正面から見るとX字。クエン酸は尿中のカルシウムを可溶化する。予防=カルシウムの摂取はシュウ酸を腸管から排泄するはたらきをするため、結石リスクを減らす。サイアザイドによる尿中Caの低下も予防効果がある。Tamslosine(alpha blocker) は尿管を弛緩させる。カルシウム制限食は逆にシュウ酸吸収が高まり、結石リスクとなる。低塩食はNaとCaの尿からの再吸収を推進するため、予防となる。 ショックウェーブ治療は妊婦には禁忌。
- リン酸マグネシウムアンモニア結石:形成は比較的早く、腎盂で鹿角型になる。長方形
- 尿酸結石uric stone:リスク=尿酸産生亢進(痛風、骨髄増殖疾患)、尿濃縮、尿の酸性化(慢性下痢、DM。産生尿により尿素が尿酸に変換されるため)(よって尿酸結石は遠位尿細管や集合管で生じやすい。)radiolucent, Tx=尿のアルカリ化(potassium citrate), プリン制限食。ダイヤモンドもしくはneedle shape crystal
- シスチンcystinuria:AR遺伝の近位尿細管での2塩基アミノ酸(cysteine, ornithine, lysine, arginine)の再吸収障害。溶解度の低いシスチンが結石化する。結石化のリスクは酸性尿。cyanide-nitroprusside test陽性。6角形。
結石種類 | リスク | 予防 | 結石所見 | |
カルシウム オキサレート/リン酸結石 | 高Ca尿(高シュウ酸尿よりも)が最多のリスク。 高Ca血症(HyperPTH等) 高オキサレート尿(吸収障害、低Ca食事等) 低クエン酸尿(distalRTA等) 食事(高Na、高蛋白、高オキサレート、低Ca)、エチレングリコール |
Na、動物蛋白、オキサレート摂取制限、K摂取、中等度のCa摂取。サイアザイド利尿薬摂取。 | 8面体で正面から見るとX字 | |
リン酸マグネシウムアンモニア結石 | 再発性の尿路感染(クレブシエラ、プロテウス等のウレアーゼ産生菌による尿のアルカリ化) | 結石除去、地固め的抗生剤 | 長方形 | |
尿酸結石 | 尿酸産生亢進(痛風、骨髄増殖疾患)、尿濃縮、尿の酸性化 | 尿のアルカリ化、アロプリノール | ダイヤモンドもしくはneedle shape crystal | |
全てにおいて | 脱水 | 飲水 |
治療:結石が1cm以下は外来治療可能(アルファブロッカー=タムスロシン等により排石促進、補液、鎮痛)4−6週間でも排石しない場合は外科治療。
1cm以上は外科治療を検討。
感染合併、腎後性腎不全合併、強い疼痛を伴う初期治療失敗例は経皮的腎瘻もしくは尿管ステント留置を行う。ショックウェーブ破砕はすぐには尿管閉塞の解除にはならない。
血尿のタイミング別の原因鑑別
- 初期=尿道
- 排尿末期=膀胱
- 全排尿期間=腎臓
肉眼的血尿があり、糸球体疾患、感染が否定的である場合は、造影CTによる尿路評価もしくは膀胱鏡検査を行う。
Urethral injury or cyst injury;common in male pelvic fracture, high-riding prostate suggest urethral injury
反復性膀胱炎
若年女性に反復する膀胱炎はよくあることであるが、半年以内に3回以上あった場合は抗生剤の予防内服もしくは自己管理内服が適応となる。他に適応がない場合は検査は不要。
間質性膀胱炎 interstitial cystitis
unknown etiology, normal urinalysis, frequent urination, bladder tenderness
尿閉 Urinary retention
術後尿閉は、麻酔薬の作用および周術期の膀胱過拡張により排尿筋の収縮不全による。尿道カテーテルの留置が診断および治療となる。
尿失禁
通常は病歴等のみで診断が可能。
切迫性尿失禁 Urge:突然に尿意が生じる(尿意切迫感)。
治療はまず定期的排尿による膀胱訓練、無効であれば、抗ムスカリン薬(tolterodine、solifenacin、oxybutynin)
腹圧性尿失禁 Stress:咳、くしゃみ、笑い等の腹圧上昇時に漏れること。骨盤外傷、加齢性の結合組織の弱体化、慢性的な腹腔内圧上昇による、尿道機能不全。
治療、ペッサリーやSNRI(Duloxetine等)、または尿道吊り上げ術
溢流性尿失禁 Overflow:持続的な漏れ。排尿障害(前立腺肥大等)が背景にある。
治療は間欠的導尿
妊婦の尿感染。
無症候性であっても抗生剤治療を行う。(腎盂腎炎のリスクが高い事、胎児への合併症のリスクを考慮して)
小児の泌尿器疾患
- 24ヶ月以内の発熱性尿路感染は腎膀胱のエコーを行い、水腎、尿管拡大を評価する。
- urine specimen who use diaper;not reliable should use urine catheter
- hyposthenuria低張尿;common in sickle cell disease or sickle cell trait
- 原発性夜間夜尿症 Primary nocturnal enuresis; 家族集積性あり。5歳以上でも続く夜尿。治療はまずは行動療法behavioral modification(夜間の飲水制限等)モチベーション治療(リワード等)を行い、効果がなければ、夜尿アラーム療法(ベッドパッドもしくは下着の早期尿検知によるアラームで、多量の排尿を防ぐ)を行う。 デスモプレシンDesmopressinも副作用はほぼなく有効であるが、やめたときに再発しうるため、短期的な目的のために使う。 イミプラミン imipramineによる抗コリンの尿閉作用はデスモプレシンが耐用できないときや再発時に用いうる。
- Urine stasis; in child caused by constipation. frequent UTI.
- 夜尿症:体重減少もしくは増加不良時は糖尿病や腎疾患の可能性あり。
馬蹄腎
腎臓は低位から頭側に移動するが、馬蹄腎の場合IMAにより移動が制限される。
後部尿道弁 Posterior urethral valve(PUV)
男児に多い先天性異常。尿路感染の原因に。先天性の尿路閉塞の原因として最多。ポッター症候群になりうる。 (肺の形成不全、圧迫による平坦な顔、下肢の変形) 診断は逆行性膀胱造影 Voiding cystourethrogramによって行う。
ポッター症候群 Potter Syndrome
尿路奇形により胎児尿がなくなることで、羊水が減少。その結果、肺の形成不全、圧迫による平坦な顔、下肢の変形となる。
Vesicoureteral reflux (VUR)
小児の再発性の腎盂腎炎。calyceal clubbing, 腎実質の瘢痕化は腎の上極と下極に多い。ネフロンが減少し、高血圧となる。
尿道憩室
反復する尿路感染、炎症、外傷により、尿道が憩室形成することによる。
排尿困難、排尿後尿失禁、性交困難、膣前部の腫瘤。MRIもしくは経膣エコーにより診断する。
前立腺がん Prostate cancer
bone meta=orchiectomy睾丸摘出, radiation
前立腺肥大
治療=Finasteride(局所でのテストステロンからデヒドロテストステロンへの変換を阻害)
膀胱がん
尿路上皮 Urothelial 癌(移行上皮細胞)が最多。平坦な発赤、結節様もしくは乳頭様の病変。粘膜固有層を超えて筋層への浸潤は予後悪化の指標となる。
screening is not feasiblefor anybody with or without risk factor
腎細胞がん renal cell carcinoma
腎皮質が起原。喫煙、肥満、高血圧はリスクファクター。傍腫瘍症候群合併(PTHrP分泌で高Ca血症、エリスロポエチンで多血症、プロスタグランジンで骨吸収)が多い。症状:hematuria, frank pain, abd mass, varicoceles精巣静脈瘤(gonadal vein invasion), fever. 診断はCTで。細胞診は精度が低い。
腎被膜下にとどまる場合は、腎部分切除、被膜上かつGerota筋膜下の場合は人的手術が適応となる。
Clear cell carcinoma
染色体3pのVHL遺伝子が関連。腎細胞がんのもっとも頻度の高いタイプ。グリコーゲンと脂質を含む細胞質の腫瘍細胞増殖。近位尿細管上皮細胞からの由来。球状で脂肪が豊富なため、金色ー黄色の色調、局所に壊死を伴う。血尿で発見。転移は骨(溶骨性)、肺(Cannnonball lesion)上述の傍腫瘍症候群。
Wilms tumor (nephroblastoma)
最も頻度の高い小児の腎臓がん。通常片側性で有痛性、高血圧、血尿を認めうる。not cross midline
Neuroblastoma
頭蓋外の固形がんの中で最も頻度が高い小児腫瘍。交感神経から生じるため(neural crest cells)、カテコラミン(エピネフリン、ノルエピネフリン)を分泌する(フラッシング、発汗等)。無痛性の腫瘍だが、ときに腫瘍圧迫症状をきたす。cross midline。cervical paravertebral sympathetic chain involvement cause Horner syndrome.
腎移植
近位尿管1/3は腎動脈から栄養されるため、移植にそのまま用いられる。
ドナーは生体腎、近親(親もしくは兄弟)、透析前の移植が、移植腎の長期予後を良くする。18歳未満や未治療の精神疾患患者はドナーとして認められない。
腎移植後は免疫抑制剤の副作用(ステロイドによるインスリン感受性低下、カルシニューリン抑制剤、代謝拮抗剤による膵毒性)および腎機能改善によるインスリン排泄増加および糖新生の亢進によって、数カ月は糖尿病の新規発症がリスクとなる。
腎移植ドナーのリスク
腎移植のドナーにおいて、腎不全、寿命低下のリスクは認めない。
しかし、妊娠合併症のリスクは増加することが報告されており、胎児死亡、前子癇、妊娠糖尿病、妊娠高血圧のリスクが増大する。一般的にはドナーとして腎提供する前に、予定している出産を完了することが推奨されている。
Pregnancy and birth after kidney donation: the Norwegian experience
腎移植後拒絶
超急性期:事前形成されたIgG抗体による。数時間以内。フィブリノイド壊死。毛細血管血栓性閉塞。
急性期:ドナー抗原への暴露による感作。6ヶ月以内。液性=C4d沈着、好中球浸潤、壊死性血管炎。細胞性=リンパ球、間質球浸潤。
慢性期:免疫抑制剤反応不良性の慢性低強度の免疫応答。数ヶ月から数年以降。血管壁肥厚、内腔狭小化、間質線維化、実質萎縮。