薬物投与量調整には個人の腎機能実測値つまり実測GFRを用いる。
eGFR は体表面積1.73 m2 当たりのGFR に補正した値のため、用いることはできない。
実測GFR =eGFR × 体表面積 / 1.73
1: 米国MDRD 研究において血清Cr,年齢からGFRを推算する式 *体表面積補正値
血清Cr 測定はJaffé 法によっており、わが国の大半の施設での酵素法の血清Cr 値に0.2 を加え,Jaffé 法の血清Cr 値に換算する必要があり。
2: 2006 年に酵素法による血清Cr 値に対応したMDRD 簡易式.*体表面積補正値
日本腎臓学会でも① Jaffé 法対応のMDRD 簡易式と②酵素法対応のMDRD 簡易式に対して日本人に適合させるための民族係数を決定した.
MDRD 式は,GFR が60 mL/分/1.73 cm2 以上の若年層で腎機能を過小評価する欠点あり
3: 日本腎臓学会が推奨する式 *体表面積補正値
eGFR(mL/分/1.73 m2)=194×Cr-1.094×Age-0.28(女性はこれに×0.739)
日本腎臓学会CKD 対策委員会プロジェクト『日本人のGFR 推算式』が発足し,イヌリンクリアランス(Cin)と血清Cr(isotopedilution mass spectrometry traceable 標準Crを用いた較正を経たシステムによる中央測定値),クレアチニンクリアランス(CCr)測定などから算出。
eGFR は①スクリーニング,②多数の対象者を比較するような疫学研究における簡便かつ客観的な評価,を主眼として作成された腎機能指標である.
4: 個別の患者の腎機能評価にはCCrを用いることを推奨 *体表面積非補正値
実測CCr (mL/分)=尿中Cr (mg/dL)×尿量(mL/日)/血清Cr(mg/dL)
尿細管からのCr 分泌のため,GFR より30%程度大きい値をとることに留意
eGFR=0.719×実測CCr
5: Cockcroft-Gault の式からGFR を推算 *体表面積非補正値
GFR=0.789×(140-年齢)×体重/(72×Cr)(女性はこれに×0.85)
成人のCCr を年齢,身長,体重から推測する簡便な方法