感染症STEP3

急性HIV感染症

2-4週間後 単核球症と類似した症状 著明に上昇したウイルス量 HIV抗体は陰性でありうる。=セロコンバージョン前。CD4カウントも正常でありうる。 抗ウイルス治療

HIV-associated thrombocytopenia

ARTによって改善が期待できる。

Immune reconstitution inflammatory syndrome (IRIS)

ARTによって免疫能が回復することによって、もともと併存していた感染症の症状が顕在化する現象。

ART治療

通常6ヶ月で<50copies/mlまでの改善が得られる。

医療者の暴露(血液、性器体液はハイリスク)

1−2時間以内に2剤の抗HIV薬投与。4週間。

無防備の性行為後(尿、唾液のみは不要)

72時間以内に3剤の抗HIV薬を4週間

性感染症スクリーニング

特にリスクが無い人は、第4世代HIVのテスト(p24抗原、HIV抗体検査)を行う。

クリプトコッカス髄膜炎

高いCSF圧(真菌とポリサッカライドがくも膜顆粒で詰まる)、低いGlu、リンパ球優位、蛋白150mg/dl程度の上昇 治療:2週間はアンホテリシンB、フルシトシンで症状改善を待つ。その後はフルコナゾールを1年継続する。 CSF上昇時は髄膜穿刺を繰り返してドレナージする。

皮膚クリプトコッカス

小丘疹、中央部に陥凹あり。診断には皮膚生検が必要。

カリニ肺炎

喀痰検査は感度は高くない。 A-aDO2が35mmHG以上、大気下でPaO2 70mmHg以下でステロイドの適応

急性単核球症

滲出性咽頭炎は急性HIV感染症との違い。数週間で回復するが、疲労は数ヶ月続く場合がある。皮疹はアンピシリン、アモキシシリン投与で誘発される

診断:Heterophile 抗体=MonoSpot 検査

治療:3−4週間の運動禁止、NSAIDsもしくはアセトアミノフェン、気道閉塞時はステロイド投与

子供の咽喉頭病変

Aphthous stomatitis アフタ性口内炎 再発性の口腔前部の潰瘍。発熱等の他の症状なし
ヘルパンギーナ 咽頭後部の水疱、潰瘍。発熱。
ヘルペス 口腔前部、口周りの水疱、潰瘍。発熱。
A群溶連菌 滲出性の扁桃。発熱、前頸部リンパ節腫脹
感染性単核球症 滲出性の扁桃。発熱、びまん性の頸部リンパ節腫脹。肝脾腫。

急性喉頭蓋炎

ヘモフィルスBインフルエンザ桿菌による。 流涎 治療迅速な挿管、抗生剤。ワクチンで予防可能

クループ

犬吠様咳嗽、熱は低い。 治療:ステロイド筋注、ラセミ体エピネフリン吸入

小児の肺炎

小学校前もしくは片側性部分的肺炎>肺炎球菌>アモキシシリン 小学校以降もしくは全身状態良好で両側性の肺炎>マイコプラズマ>アジスロマイシン

リウマチ熱

J♥NESクライテリア:joint, heat, nodules, erythema marginatum, Sydenham chorea

急性中耳炎

中耳ー結膜症候群はnontypeable H influenzaeに起因する。 初回はアモキシシリン、再発性はアモキシシリンークラブラン酸で治療。 継続的に持続する場合は、鼓膜チューブ留置の適応となる。

ジフテリア感染

15才以下の小児。咽頭局所の偽膜、白苔付着を伴う炎症と、毒素が血流に入った場合の用量依存的な心筋炎や神経障害、腎障害を呈する。

ヒト口傷

グラム陰性桿菌 Eikenella corrdens

抗インフルエンザ薬による治療の適応

発症48時間以内のリスクの低い人、もしくは発症後の時間に関わらずハイリスク群(65歳以上、妊娠、出産後2週間の女性、心肺腎疾患患者、免疫不全、肥満、アメリカ先住民族、老人施設患者)

結核

暴露後はまずツベルクリンテスト、陰性であれば再度8−10週後に再度ツベルクリンテストを確認する。 スメアは感度が低い。3回陰性でも拡散増幅もしくは結核菌培養にて陰性を確認する必要がある。

BCG接種歴がある人は、Interferon-gamma release assayで感染状態を確認する。

結核性胸膜炎は胸膜の生検が必要。

潜在性結核

無症状、レントゲンも陰性だが、Interferon-gamma release assayが陽性。INH9ヶ月もしくはRifampin4−6ヶ月で治療する。隔離は不要だが陽性化するリスクあり。

INHは肝障害を起こすことが最多。ビタミンB6欠乏による末梢神経障害も起こりうるが、B6を予防投与することにより防ぐ事ができる。

妊婦の活動性結核

イソニアジド、リファンピシン、エタンブトールを2ヶ月、その後、イソニアジド、リファンピシンを7ヶ月投与する。児へは安全とされる。

結核性髄膜炎

1年超に渡る抗生剤が必要。抗生剤の投与開始初期はステロイドを併用おすることで、中枢神経の一過的炎症を抑制し、予後を良くする。

先天性トキソプラズマ

頭蓋内石灰化、頭蓋拡大、  

新生児感染症

多くの場合は大腸菌による尿路感染症。リステリア感染もありうる。

エンピリカルカバーとしては、アンピシリンとセフォタキシムとなる。セフトリアキソンはアルブミンと結合してるビリルビンを分離し、血中ビリルビン値を上げるため、セフォタキシムが優先となる。

クロストリジウム感染症のリスク

ハイリスク薬剤:ニューキノロン、クリンダマイシン、第3もしくは第4セフェム、カルバペネム、モノバクタム ローリスク薬剤:ST合剤、マクロライド、テトラサイクリン、アミノグリコシド

再発性のC Difficile感染

バンコマイシンの再投与(パルスおよびテイパーオフで2−8週間)

もしくはFidazomicin  

髄膜炎菌

暴露後はリファンピシン2日間、シプロフロキサシン単回経口、セフトリアキソン単回のどれかを行うと、咽頭に保菌しうる髄膜炎菌を除菌することができる。

播種性淋菌感染

多関節炎、腱滑膜炎、皮膚炎(膿疱性) Nucleic acid amplication test NAATテストを陰部より採取  

シャーガス病

原虫ProtozoanのTrypanosoma cruzi感染 心尖部心室瘤 fibrosisによる伝動障害, mural thrombosisによる塞栓症

急性B型肝炎

7割のHBVの急性感染は無症状。3割は黄疸、食思不振等を伴う。しかし、肝不全に進展することは稀であり、基本的には外来観察可能。 抗ウイルス薬治療は免疫不全、C型肝炎合併例、重度・劇症肝炎例に限られる。 医療者が暴露した場合は、B型肝炎ワクチンと免疫グロブリンを12−24時間以内に投与。

慢性B型肝炎

周産期感染は90%、1−5歳では20−50%、成人では5%の確率で、急性B型肝炎から移行する。 ジェノタイプAではインターフェロンが有効。

新生児B型肝炎ワクチン

母体が活動性のHBV感染時は、出生時に12時間以内にHBVワクチンと免疫グロブリン、2ヶ月、6ヶ月時点でHBVワクチンを摂取する。HBV抗体価が通常9ヶ月目に検査する。

C型肝炎

HCV抗体陽性だけでは確定診断できず、核酸テストによるHCV RNAの確認が必要。特に急性C型肝炎は抗体陰性となる。

血清病

免疫複合体による3型アレルギー。急性B型肝炎に合併しうる。

ライム病

スピロヘータの一種。刺されてから1−2週間後の無痛性の遊走性紅斑。

関節炎は好中球優位で20-50K/mm3のWBC。関節液はELISA法やWesternによって診断される。

初期播種期以降はELISA、つづいてWestern Blotによって診断。

初期限局期(1ヶ月まで):疲労、頭痛、移動性紅斑、関節痛。抗体等は不確実なため、臨床診断で治療開始。

初期播種期(数ヶ月まで):顔面神経麻痺等、髄膜炎、心炎(AVブロック等)、移動性関節痛

晩期(数年):関節炎、脳炎、末梢神経障害。

治療は28日間のドキシサイクリンもしくはアモキシシリン

破傷風

アメリカではワクチンは4回目が4才。

9才までであれば、傷の程度によらず、追加の破傷風ワクチンは不要。

狂犬病

1年以内にワクチンを受けている場合は、暴露後はワクチンを再接種する。 ワクチンを受けていない場合は、暴露後はグロブリンと共にワクチンを接種する。

慢性前立腺炎

慢性の尿路症状、恥骨痛、細菌尿。大腸菌が最多の原因。中年に多い。細菌尿の前立腺内への逆流による。6週間の抗生剤治療。 市中肺炎 エンピリカルにはまず、セフトリアキソン、アジスロマイシンもしくはレボフロキサシンを用いる

トリコモナス感染

メトロニダゾールの単回経口投与。経膣投与は不完全治療となりうる。

メトロニダゾール内服中は授乳避ける。

乳腺炎

ジクロキサシリンもしくはセファレキシン 。

授乳は感染側でも行って良い。

痛みが持続する場合は膿瘍形成を疑って、エコーを行う。

スポロトリコーシス Sporotrichosis

皮膚の真菌感染。腐った植物や土に生息し、皮膚の傷から入り、リンパで広がる。園芸士に多い。無臭、無痛、非化膿性、肉芽腫様の結節。治療はITCZ

ヒストプラズマ症 Histoplasmosis

オハイオ州やミシシッピ川沿いの土壌にいる真菌。吸入して肺胞のマクロファージに貪食されるが、殺菌されず、マクロファージ内で増殖する。小さい酵母の集簇。2週間程度で感染巣は肉芽腫形成され、次第に石灰化する。網様系内に感染波及することもある(脾、肝の石灰化病変)。肺サルコイドーシス(肺門部リンパ節腫大)と間違われ、ステロイドを用いると悪化する。尿中抗原で診断される。

Blastomycosis (酵母真菌)

アメリカ南東部、Wisconsin州等。免疫抑制患者では播種性感染証となる。肺炎、皮膚潰瘍、肋骨の溶骨性病変、前立腺感染 Tx=ITCZ or AMB

コクシジオイデス症 Coccidioidomycosis

アリゾナ等のsouthwestern US, valleyで発生。 内生胞子endosporeを含む透明な球状体spherulesを作るのが特徴所見。

fever, Night sweats, BW↓pulmonary infection

帯状疱疹 VZV

局所感染時:痂皮化するまで接触感染予防。内服バラシクロビル

播種性感染時:接触感染予防および空気感染予防、眼球感染等の予防のため、入院、点滴アシクロビルが必要

単純疱疹 Simplex virus

局所アシクロビルも有効。

West Nile virus

Arbovirus。鳥の中で増幅し、蚊を介してヒトに感染する。小児、高齢者、免疫不全者において、ウイルスが駆逐できず発症する。

  • ウェストナイル熱:発熱、頭痛、丘皮疹。
  • 中枢神経侵襲(髄膜炎、脳炎、急性非対称性弛緩性麻痺、パーキンソン症状)

コクサッキーウイルス

手足口病の原因。また、心筋炎の原因ともなる。

夏の子供に生じ、保育園で伝染しうる。

生ワクチン

生ワクチンは胎児への感染リスクのため妊婦には禁忌だが、妊婦と共に暮らしている子供には接種するのは可。

授乳禁忌:未治療の結核、HIV感染、活動性の帯状疱疹感染、化学療法中もしくは放射線治療中、ドラッグ使用、ガラクトース血症

母体がHIVでも1000copy以下であれば、経膣分娩可能。抗HIV薬は継続する。

 

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